人生を変える「お金」の話をしよう! Vol.1 柴田博人(投資家)
発想を少し変えるだけで自分も周囲も豊かになる
お金の話が苦手な日本人は多い。ビジネスの場で最初からはっきりと金額交渉をすると嫌がられたり、お金もうけの話を人前でするのは「はしたないこと」とされたりするのが、一般的な日本人の感覚だ。親しい友人や恋人であっても、年収を知らないという人も多いのではないか。しかし、お金は毎日の生活に欠かせない大事なものだ。お金が流れていないと、経済も動かない。それなのに、なぜお金の話を嫌がるのだろうか。
お金をタブーにしてはいけない! そんな考えから、お金についての個人史を率直に語ってもらうシリーズを開始する。1回目は、32歳でセミリタイアを実現した、柴田博人さんの話を聞こう。
<ポイント>
柴田さんの【お金の教養】
・お金は「目的」と「使い方」が重要
・貯金は最も「デキない」お金の使い方
・お金もうけは人から喜ばれる「善」である
投資のきっかけは
子どものための「保険」だった
お金に対する私の考えが大きく変わったきっかけは、子どもを授かったことでした。
それまで私は、お金は働く対価としていただくものだと思っていました。そして大金持ちになることは、由緒正しき血筋や、簡単には手に入らない人脈、普通の人が知り得ることのできない情報や、特別に突出して素晴らしい能力がないと難しいと思っていました。
だから普通の家庭の普通の人脈で、普通に暮らす、ちょっと平均より勉強ができない自分には、努力の範囲で小金持になれても、いわゆる大金持ちや資産家は別世界の人たちだと思っていました。
20代のころは大手住宅メーカーの飛び込み営業としてハードに働き、その後、独立して建設会社を経営したのでそれなりの収入はありましたが、それはあくまで実際に働いた結果としてのこと。だから、収入イコール自分がハードに働く時間や、毎日営業して立つ売り上げがイコールで、働くことを辞めた瞬間に収入が止まる。お金に対してはそんなイメージしかありませんでした。
30歳で子どもを授かったとき、世間の多くの親と同じように、私も「両親に万が一のことがあっても子供を守れるように、保険に入ろう」と考え、保険の仕組みについて調べました。そうすると、加入者が支払う金額の多くが保険会社の広告費などに使われていて、保険料が高い割にムダが多い。しかも生命保険の場合は、契約者から集めた保険料を使って保険会社が資産運用をし、将来の支払いに充てているということを知りました。家族を守るためには「保険に入る」という選択肢が当たり前と思われているけど、本当にこれがベストな方法なのだろうか? 私の中で、「お金に対する常識」が揺らいだ瞬間でした。その疑問を突き詰めた結果、保険会社に預けずに自分で資産運用をするほうが効率的だと気が付いたのです。
自分で投資をするのであれば、できるだけ利益を中抜きされない商品がいい。そう思って投資先を調べて、最初に出合ったのが「ゼロクーポン債」と呼ばれる米国債です。毎年の金利がつかない代わりに安い価格で購入できて、保有し続ければ額面通りの元本が戻ってくると聞いて、すぐに買いました。額面のリスクが限りなくゼロに近くて、償還までの期間が長ければ長いほど債券が安く買えて差額分がもうかる。そんな投資商品があると初めて知りました。その後、ロシアの携帯電話の会社やブラジルの食品会社の株などを買い、いずれも利益を得ることができました。
当時、投資の勉強をする中で最も影響を受けたのが「複利」の考え方です。元本100万円に対して、毎年一定の金利を得る「単利」と違い、複利の場合は元本100万円で得た利息を翌年の元本に加えて、再投資する。そうすると、利息を使ってさらに利息が増えていく――。この考え方を株や国債の投資で実践してみて、「お金が自分で増えていく」感覚を生まれて初めて味わいました。投資先にしても、投資のノウハウにしても、「知らない」ことによって、いままでの自分は目の前にあるチャンスを逃して損をし続けてきたことを実感しました。
そうやって投資を続け、将来インフレになるメリット・デメリットや、人口減少によって日本の国力が落ちて円安になる可能性があることなどを勉強して理解していくうちに、不動産投資の魅力に気付いていきました。不動産なら人口動態や地域住民の民度の傾向などから需給が想像しやすく、実在するモノに投資する「実需」なので安心感があります。また、インフレが起きて物価が上がっても、賃貸イコール物価であり、物価の連動に伴って料金を上げればいいので、物価変動による損失が出にくい。何より、不動産投資においては、建築不動産業界にいたのでそれなりの知識はありましたし、苦手意識はありませんでした。
この知識を投資に生かさない手はない。早速、自分が投資できそうな物件を探すと、専門家として見ても300万円くらいからしっかりとした物件があることもわかってきました。最初の不動産投資で利回りを得て、かつ複利の考え方で利回りを次の不動産投資に充てて、家賃収入を増やしていく。この仕組みを実践したところ、わずか2年で働かなくても暮らしていけるだけの収入を得られるようになりました。子供を授かってからずっと、「子育てにじっくり取り組みたい!」と思っていたのですが、収入を確保できたおかげでその願いをかなえることもできました。5年間育児に専念し、いまは投資を続けながら、ビジネスの世界に復帰しています。本当はもっと育児をしていたかったのですが、娘が小学校に上がるころには、残念ながら私がつきっきりでいる必要はなくなったんですね(笑)。
「お金をもうける=悪」は
単なる思い込み
投資のための勉強とその実践を繰り返すことで、私はお金について多くの気付きを得ることができました。その1つが、お金を得る「目的」と「使い方」を決しておろそかにしてはいけないということです。そもそもお金とは必要なモノやサービスを交換するための道具であって、お金そのものに価値があるわけではありません。ですから、漠然と「カネ、カネ」とお金を追い求める行為には、何の意味もありません。なぜ、お金がほしいのか。そして手にしたお金をどう使うのか。その2点が非常に重要なのです。
目的は人それぞれでしょう。私のように「家族を守りたい」「子育てという貴重な人生経験をしてみたい」という目的もあれば、「世界中を旅したい」「いろんな車に乗って見たい」というような、趣味をかなえる目的もあるでしょう。そのためには、複利のような考え方を知ってお金が自分で増える使い方をしたり、お金で時間を買ったり、さまざまな「有効な使い方」を知ることが大切です。逆にいうと、本来使われることで価値を発揮するお金をただ貯めておくというのは、最も良くないお金の使い方なのです。
下の表は、私がこの4月に出版した『デキない人のお金の使い方×デキる人のお金の使い方』(竹松祐紀との共著)に出てくる、「貯金と不動産投資」のシミュレーション比較です。
出典:CCCメディアハウス刊『デキない人のお金の使い方 デキる人のお金の使い方』より
:copyright:柴田博人、竹松祐紀
例えば毎年頑張って100万円を貯金するとして、それを元本にして複利を用いながら3年ごとに不動産投資を行うと、21年後の不動産資産額は5262万円になります。一方、毎年100万円を貯金しても、21年後には2100万円が口座に眠るだけ。利息がつきますが、いまの金利だとお小遣いにもならないでしょう。このように、貯金というのは最も損をするお金の使い方なのです。
さらに言うと、あなたが貯金をしてもその期間、自分も周囲の人も一切潤いません。これが、貯金が最も「デキないお金の使い方」である理由です。例えば、お金を貯金ではなく株式投資に回せば、夢をもつ事業家がビジネスを拡大できるかもしれない。不動産に投資してオーナーになれば、家を借りたい人のニーズに応えられるかもしれない。若い芸術家に投資すれば、その人が社会に対して存分に自分の才能を発揮し多くの人にやすらぎや感動を与えることができるかもしれない――。つまりお金を使うというのは、経済を動かし、自分と共に誰かを幸せにするということなのです。
立場を逆転させて考えてみましょう。あなたがお給料をもらえるのは、誰かがお金を使って商品を買ってくれたから。つまり、ほしい商品・サービスを購入したり、必要なニーズを得たりして誰かが満足し、お金を払った結果があなたの手元に届いているのです。このことに気付くと、多くの日本人が抱えている「お金持ちになるためには嫌なことも我慢しなければいけない」という考え方、さらに「お金もうけは悪」というイメージも、単なる思い込みに過ぎないことがわかります。お金は、人に喜んでもらって手に入れるもの。たくさんのお金が入って来るというのは、大勢の人を喜ばせているということなのです。
人に喜んでもらうには、「自分が何をすれば、人のニーズに応えられるだろうか」と考えなければいけません。料理が好きだとか、ファッションに詳しいとか、誰にでも何かしら得意なこと、没頭できることがあるはずです。一見、マイナスに思えるようなこともすべては個性であって、例えば病気で思うように身体が動かない人であれば、同じ立場で困っている人の気持ちがわかるということが「特技」になるでしょう。自分ができることでスキルを磨いて、それを提供して他人を喜ばせてお金をもらう。さらに、稼いだお金を「死に金」にせず、投資や他の人を喜ばせることに使って、さらにリターンを得る――。「お金もうけは悪」という思いこみを捨て、「人に喜んでもらってお金を得るのはすばらしい」という価値観に気付くと、お金が回り始め、あなたも周囲も豊かになります。
こういうふうに説明をしても、たとえば不動産投資に対して「税金がかかるだろう」「空室になったらどうするんだ」と、何かと理由をつけて否定されることがよくあります。確かに税金はかかりますが、家賃収入で十分にペイできるし、需給バランスを考えて物件を選べば空室が続くことはめったにない。それでも心配なら、欲に走らず、他より少し家賃を安くするだけで入居率は上がります。結局、理屈を言って行動しない人が多いので、少し勉強して実践しただけで、他人より知識が増えてうまくいく。私が成功したのは、本当にただそれだけ。「調べて、やってみた」というシンプルな事実なのです。
子どもの将来を考えたことをきっかけに、私はお金について多くの気付きを得ました。
あのとき、投資について調べたり勉強をしたりしなければ、お金についての世間一般の思い込みをいまも信じて、「デキないお金の使い方」を続けていたと思います。
お金儲けは「悪」どころか、多くの人を喜ばせる「善」である――。
このことに気付けるかどうかで、人生は大きく変わるのです。
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柴田 博人 (しばた・ひろひと)
1968年、東京生まれ。建築工学科を卒業した後、住宅メーカーで歩合制の飛込営業を毎日100件以上行い、営業ノウハウを習得。26歳で独立し、企業間交渉や銀行融資、会計や法務などを学び、ユニークな経営思想を確立して会社を急成長させる。
32歳で投資家としても実績を上げ、育児のため5年間のセミリタイア。子供の進学を機にビジネス界に復帰。その後1年半で7社の経営に携わり、創業したうちの2社は「日本一」の称号を持つ経営のプロ。不動産投資の専門家としても雑誌等の取材を受け、独自の理論を持ち、国内外の一等地に数多くの収益物件を保有。株式投資にも精通し、「株の学校ドットコム」を運営。監修した書籍には、『株の学校』(窪田剛著/高橋書店)、『心をひらく あなたの人生を変える松下幸之助』(ジェームス・スキナー著/PHP研究所)などがあり、ビジネスと投資に精通するお金の専門家。