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2016/02/18 00:00

【対談:三田紀房×荒木大輔(後編)】未来ある高校球児のために大人たちが考えるべきことは・・・

Araki mita

第88回選抜高校野球大会に出場する高校が出揃い、3月20日の開幕も間近に迫ってきた。地区予選を勝ち抜き辿り着いた夢舞台・・・今年も新たなスターが生まれるだろう。しかし、どんなに素晴らしい選手であってもまだ高校生である。そんな選手の健康管理を考慮し、高野連ではタイブレーク制の導入が検討され始めている。三田氏×荒木大輔氏対談の最終回は、これからの高校野球のあり方について語り合っていただいた。

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三田紀房×荒木大輔 対談シリーズ「甲子園のアイドルの真実」

1980年夏、4試合連続完封の離れ業を演じ、その端正なルックスから、
文字通りアイドルに祭り上げられ、大ちゃんフィーバーという、
おそらく高校野球史上最大の社会現象を巻き起こした球児、
荒木大輔氏と、『砂の栄冠』や『クロカン』など甲子園を
題材とした漫画を手がけてきた三田紀房の対談シリーズ。

前編 人生は「運」で決まる!荒木大輔に学ぶ、幸運を掴む秘訣とは?
中編 82’ 早実vs.池田の歴史的試合を荒木氏が振り返る!
後編 未来ある高校球児のために大人たちが考えるべきことは・・・


  • 荒木大輔

    1964年5月6日生まれ、東京都出身。早稲田実業在籍時、一年生の夏の甲子園、決勝戦で横浜高校に敗れるまで、4試合連続完封勝利を上げ、一躍、甲子園のアイドルに。2年時、3年時も春夏連続で甲子園出場。82年秋、ドラフト1位指名を受けヤクルトスワローズ(現・東京ヤクルトスワローズ)に入団。1995年に横浜ベイスターズ(現・横浜DNAベイスターズ)へ移籍、翌1996年現役引退。西武ライオンズ、東京ヤクルトスワローズのコーチ業を経て、現在は野球解説者として活躍中。

選手には2つのタイプがある


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三田 荒木さん5季連続で甲子園に出場していますが、そのなかで最も印象深い試合はどの試合になりますか。

荒木 高2の夏、確か3回戦だと思うけど、優勝した報徳学園(兵庫)との試合ですね。

三田 金村(義明 元近鉄バッファローズ)さんですよね。

荒木 9回終わって4対1と僕らが完全に勝っていた。まさか、僕らが報徳に勝てると思っていなかったから、その時に「あれ、俺ら勝っちゃうよ」「スゲー」って、油断というか、"勝ち"を意識したんです。そうしたらあっという間に追いつかれて、延長10回にサヨナラ負け。浮かれた自分のせいで、本当に上級生に申し訳なくて・・・。

三田 それが一番悔しかったと。

荒木 ええ。一年の時はあまり悔しいとは思わなかったし、3年の時は「優勝しような!」と仲間と話はしていたけど、話だけでなにも準備していない(笑)。そこまで強い思いがなかったんでしょうねたいして練習しないのに、楽しくやって、勝てたら一番みたいな。

三田 ガツガツしてなくて、そのへんは東京のチームっていう感じがしますね。

荒木 多分、そうだと思います。

三田 それにしても、荒木さんてあまり執着心無さそうですよね。「甲子園に行く!」とか「絶対プロになる」っていう思いがあまり感じられないというか。

荒木 無いですね(笑)。周囲にあわせて次第に・・・という感じで。流されるタイプかもしれないですね。

三田 僕、いろんな方を取材して思うのが、選手には2つのタイプがある。ひとつは荒木さんのようなタイプで、環境によって変わってきた人たち。もうひとつは小さい頃から「俺はプロになる」と決めて、そのためにこの学校に行って・・・と目標を定めた人たちですね。荒木さんの後輩である日本ハムの斎藤祐ちゃんも、早実に行って、甲子園で優勝してプロに行くって、もう小学校の頃から決めていたというんですね。最近は、そういう選手が多く。やっぱり荒木さんとは一時代違うんだなと思いました。

僕らに頃の親たちは、せいぜいお揃いの帽子ぐらいでした(笑)

荒木 それは違うと思います。親の期待からして違いますからね。

三田 今の親は、半端ない!練習試合から親御さんが揃いの帽子にTシャツ、グッズ持って完全フル装備ですから(笑)。

荒木 僕らに頃の親たちは、せいぜいお揃いの帽子ぐらいでした。

三田 今は親御さんの熱心度によって、子供の背番号も変わってくるぐらいですからね。

荒木 本当!?それはやりにくいなあ。

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我々大人は冷静になって選手の怪我を未然に防ぐのが役目だと思う

————これから甲子園が始まります。現役の高校野球指導者に言いたいことはありますか?

荒木 選手に無茶だけはさせないでほしい。練習にしても投げ込みにしても。

三田 それはありますね。僕ら高校野球を取材している立場からすると、特に投手の球数とか、そろそろルール化するべきだと思う。昔と比べ遠征が増えて試合数も増えているし、とにかく投げ過ぎですよ。これは将来楽しみだっていう素材でも、高2の夏でダメになる場合が多くて、なんとか助けられないかと。

荒木 ただ難しいのは、その投手はそこで終わってもいいから、この場面だけはなんとか凌ぎたいと思っているかもしれない。そうなると、外の人間は意見しづらくなる。

三田 あの甲子園の世界にいると、将来のことなんか全部吹っ飛んで「とにかくこの一球」「このバッターだけ」となって、応援する側も夢中で意識が飛んでいる状態になる。だけど、我々大人は冷静になって選手の怪我を未然に防ぐのが役目だと思うんです。そろそろ高野連が主導してルールを整備する時代が来ているんじゃないかと思うんですよね。

荒木 確かに、選手にとってもその方がいいと思います。

三田 荒木さんは、高校野球の監督というのは興味ないんですか。

荒木 やりたい気持ちはあるけど、やっちゃいけないと思っているんです。今、プロアマの講習受ければ指導はできるけど、アマの邪魔をしてはいけないんじゃないかと・・・監督じゃない立場で、プロで学んだノウハウを教えてあげたいというのはあります。

三田 それは楽しみだ。プロ野球の技術や考え方が導入されることによって、高校野球はますます発展していく。ファンにとっても野球界にとっても喜ばしい限りですね。

終わり

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※出典 小学館『クロカン 死闘!坂本vs.細越編 (My First Big SPECIAL)』

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