3月中旬、アオイゼミの特別授業の講師として三田紀房が招かれ、授業が行われた。アオイゼミは、中高生向けにライブ授業配信サービスを行う、業界最大級のオンライン学習塾だ。本授業の主旨は、「自分の将来を考える物さしの一つとしてお金で考えてみてはどうか」というものであり、中高生向けのタメになる話が満載だ。※本授業はニコニコ動画で配信されており、リアルタイムで視聴者(中高生)の質問を受け付け、答える形式になっている。
背広を着てネクタイを締めたサラリーマンに憧れていた子供時代
石井:月に1回アオイゼミでは、特別授業として進路相談室のような番組をやっていて、中高生の皆さんから、将来こんな仕事に就きたいといったメッセージも頂いています。マンガ家になりたい子も中にはいて、せっかくの機会なので、三田さんの学生時代やマンガ家になるまでの経緯を教えてください。
三田:僕の生まれた家は個人商店をやってたんですね。お店ですから、もう一年中親は働いてるんですよ。唯一お店を閉めるっていうのは元旦だけなんですよね。朝から晩まで親が働いてる姿を見て、こんなに働きたくないなと思って、もう商売だけは絶対やだなと思ったんです。もう普通に背広着てネクタイ締めて、鞄持っていくようなサラリーマンに憧れてたんですよ。だから大学入学後は漠然と公務員になろうと思いました。市役所とか県庁とか。
石井:え、公務員ですか。ちょっと意外ですね。
三田:でも、公務員試験って結構勉強するんで面倒くさいなと思って。もう普通の民間企業でいいやと思って行ったのが西武百貨店ですね。
石井:そうなんですね。
三田:ただ、西武には大変申しわけないんだけど、入ってもう一カ月ぐらいして、「なんか百貨店、違うな」って思ったんですよね。
石井:なるほど。でも、それこそ社会に出たらまずは3年頑張りなさいみたいな価値観ありますよね。
三田:あれは大人がそういうふうに仕向けてる感じはあるので、いいんですよ。バンバン辞めて。
石井:そうですよね、分かります。私も3年続いた会社って今の会社だけですから。
三田:辛抱とかもっともらしいこと言うんですよ、大人はね。でもいいんです、なんか違うと思ったら辞めて。
そして、マンガ家になる
石井:三田さんは、ご実家に帰られて、親御さんのやってらっしゃったお店を継いだと伺っています。
三田:僕が実家に帰ったときというのは、70年代から80年代ということで、地方に大型スーパーがどんどん進出してきた時代なんですね。お客さんは郊外型のショッピングセンターとかにみんなとられてしまって。もうその時点で、「これはダメだな」と、田舎に帰って2~3年してですけど、いずれこの店ももう閉めようと思っていたんです。でも、田舎ですから、お店を閉めてそこから就職っていうのがまずもう不可能なんですよ。
石井:なかなか、難しいですよね。
三田:ええ。仕事がないですから、そもそもが。何か一人でてっとり早くできるものはないかなって考えて、思いついたのが「漫画」だったんです。とは言っても当時26、27歳とかで未経験でしたけどね。
石井:商売をやっていらした方が、どうしていきなり漫画家になろうって考えたんですか。
三田:僕の場合は新人賞募集がきっかけでしたね。新人賞って、賞金100万円貰えるんですよ。実際に作品を読むんだけど、そんな大して面白くないんですよ。
石井:まあ、まだ新人ですからね。
三田:そうなんですよね。だから、これぐらいなら描けるんじゃないかっていうふうにまず思うわけです。そこで、漫画を描き始めるわけですよね。そして、マンガを描いて、新人賞の募集をしてますから、そこに送れば良くて、あとは結果を待つだけなんですね。非常にシンプルで簡単ですよね。
石井:そうですね。でも、絵はある程度うまくないといけないんじゃないかと思うんですけど、そんなもんですかね。
三田:絵に関しては全然問題ないですね。だって、だいたい似せて描きゃいいわけですから。自分が好きな漫画、自分がこういう作品は好きだなっていうものを、だいたいそれに似せて描けばいいんですよ。
石井:でもそれで、新人賞とかとれちゃうんですね。
三田:ええ。ただ、どういう作品が賞をとれるか、あらかじめ事前に自分なりに分析することは重要だと思います。そうすることで新人賞をとりやすくなりますから。
石井:なるほど。漫画家になるまでに、とにかく絵を描いて出そうというだけではなくて、やっぱり結構戦略的にいろいろ準備されてやったということですよね?
三田:そうですね、でもね、ストーリーっていうのは、だいたい決まってるんですよ。ストーリーの基本というものは、ある程度あるので、そこを押さえれば水準のものはつくれるわけですよ。そして、載るとお金が原稿料が振り込まれる。これはいい商売だと思いましたよ。
石井:なるほど。でも、三田さんは個人商店からマンガ家に転身したわけですから、かなり異色なご経歴ですよね。
三田:そうかもしれないですね。もしかしたら、皆さんは僕がいろんな壁を乗り越えていってという勝手な想像をしているかもしれませんが、意外とやると実はそうでもなかったんです。これは何も私だけでなくて、皆さんにも似たような経験があるんじゃないかと思います。要するに、準備っていうものに皆さん重きを置きすぎるんじゃないかなと思うんですよね。だから漫画家になる、まず絵を勉強しなきゃとか、シナリオはどうやってつくるんだとか、そういう準備を重ねて、実力がついてから漫画を描くって考えがちなんですけども、僕は準備っていうのは1円にもならないと考えてるんですよ。
石井:準備は1円にもならない・・・ですか。
三田:実はね、準備に対しては誰もお金をくれないんですよ。
石井:そうですね。
三田:僕は、そういうお金にならないものはやらない。中高生にあんまりこんなこと言っていいか分かんないけど。
石井:かなり夢のない話ですけど、いいですね。
三田:準備をあまりにもしすぎるために、目的からだんだん遠ざかってしまうんですよね。
石井:それはどういうことですか。
三田:準備をしている間にどんどん自分のエネルギーを使ってるわけですから、本来目的を達成するために使うべき最大パワーが、準備でだいたい減退してしまうんですよね。だから、目的達成のためだけに100%の力を尽くそうということなんですよね。
石井:確かに三田さんのお話、よくわかりますね、ありがとうございます。今コメントで、面白いコメントが来ていて、ミルミルストローさん、中学二年生から、「絵やダンスなど芸術的な仕事に就くためには、才能が必要な気もする」というコメントがありますね。実際に漫画家って才能は必要ですか。
三田:才能は必要ないですね。僕は、言語化してちゃんと説明できないものは、基本的にあんま考えないようにするんですよね。才能よりは、やっぱり行動力だと思いますね。
石井:行動力ですか。いきなり賞に応募してみるとか。
三田:そうです、結局行動力なんですよ。大事なのは。
■終わりに
マンガの新人賞作品を読んで、「これなら自分でも描ける!」というところから、実際に描き始めた三田紀房の行動力は私たちも見習うべき点だ。また、実際に描き始めて『ドラゴン桜』『インベスターZ』のヒット作を創り出しているため、非常に納得できたのではないだろうか。次回は「夢を実現するには才能よりも行動力が大事」というテーマで三田が語る。
▼【特別授業】三田紀房先生×アオイゼミ「自分の将来は[お金]で決めよう!」が以下でご覧になれます☆
・三田紀房「夢はサラリーマンになることだった」(8分45秒~)
・夢は変わっても良い(13分45秒~)
・能力だけで成り立つ職業はそんなにない(29分05秒~)
・お金とは何か?(41分15秒~)
記事では載せられなかったおもしろい内容が盛り沢山☆
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