いま20歳だったら何をするか――3つの選択肢
すぐに就職をしないで、何をするか。時代を見るセンスを問われる質問だね。少し考えただけでも、わくわくするようなアイデアがいくつも浮かんでくる。
例えば米国に行って、「アクセル・パートナーズ」や「セコイヤ・キャピタル」のようなベンチャーキャピタルが、今どの企業に投資しているのかを知るというのはどうだろう。これらのベンチャーキャピタルは、我慢強くリスクマネーを持ち続け、これまでアップルやオラクルといった数々の伝説的企業の成長に一役買ってきた。きっと今も、時代の最先端をいくユニークな研究をしているベンチャーに目を付けているはずだ。
米国に行くなら、大学でどんな研究が行われているかも見てくるべきだ。米国はインターネット発祥の場所。現在のITの基礎をつくった開発者の弟子たちがちょうど育ってきていて、そろそろ次のイノベーションを起こす時期だと私は見ている。例えば医療における病院や薬のシステム、教育などの現場で、インパクトある変化を起こしそうな最先端の技術を探しに行く。同時に開発者の熱気に触れることができれば、間違いなくあなたの将来のためになる。
2011年に地球上の人口は70億人を突破した。国連によると、2050年までに90億人を突破するという。けん引するのは、中近東と中南米、そしてアフリカの人口爆発だ。これらの地域は、若者が多く社会に活気が満ちている反面、資源や食糧が不足するなど課題も山積している。そういう地域の課題解決につながる技術を日本から移植すれば、現地で大きな価値を生むだろう。
しかも、新興国での技術革新のスピードは年々早まっていて、先進国が実現した技術を半分、三分の一の時間で成し遂げることも考えられる。現地のニーズを把握し、日本企業が持つ最先端の技術と結びつけるような仕組みを構築するなど、意義もやりがいも大きな仕事がいくらでもありそうだ。
もちろん、国内でできることもある。最近は「地域創生」が盛んに言われているけど、むしろ私は「東京という都市のポテンシャル」に注目している。最も海外から人とお金を集められる場所。それはやはり、東京だと思うのだ。地域が頑張ることはもちろん大切だ。しかし、日本の大黒柱がしっかりしていてこその地域創生だろう。
そこで気になるのが、東京の街は清潔で治安もいいが、何か物足りないということだ。例えば花が多いニューヨークのように目を楽しませるが要素が少ないし、映画や劇場といったエンタテイメントの力も足りない。それらの要素をふんだんに取り入れ、電力の自給、エネルギーの最適化を図るスマートビルディングといったエコロジーの技術、人々が学びを得られる教育の要素も入れて、シンガポール以上に人を集められる魅力的な都市にする。いっそのこと東京湾に新しい街を1つ作るくらいの大投資をすれば、海外から人が集まり、日本経済に大いに貢献するはずだ。これは大掛かりな話だが、もっと身近なことでいい。東京や地方を通じて、日本を良くするためのアイデアを考えてみてはどうだろう。
最先端の動きを見に米国に行くか。
人口爆発の国で汗してニーズに応えるか。
日本そのものを良くするか。
私が今20歳だったら、こういう発想で自分の居場所を選択する。