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2017年卒の大学生の就職活動が始まった。今年は、経団連が企業の選考活動の開始を去年より2カ月早い6月1日に前倒ししたため、就職活動は「短期決戦」となっている。今まさに、就活戦線に乗り込んだあなたへ――。『奇跡の就活術』著者であり、「203社連続で落ちた女子学生が、アドバイスを受けて204社目から連続内定をゲットした」という伝説の持ち主・阿部淳一郎氏がノウハウを伝授する。

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阿部淳一郎氏

就職活動を始めたあなたに、絶対に知ってほしいことがあります。それは、就職活動の「ルール」を知らないと、なかなか内定にたどりつけないということ。あなたが憧れる業種、たとえばマスコミや自動業界車、IT業界への強い愛があって、いくら業界研究をしても、はっきりいって企業側はそんなことをあなたに求めていません。では、企業は学生に何を求めているのでしょうか? もっと言うと、どんな学生に内定を出すのでしょうか?

答えを言う前に、「ルール」について少し説明しましょう。
これまであなたは、学費を払って学校から教育というサービスを「受ける側」でした。しかし社会人になってからは、完全に立場が逆転します。あなたが会社に労働という対価を与え、給料をもらう。つまり、「与える側」になるのです。
これが、学生と社会人のルールの違い。つまり、学生から社会人に移るというのは、ルールが大きく変わることなのです。そして就職活動では、企業は既に「社会人のルール」という物差しで、あなたを見ています。

野球のルールを知らずに試合に出ても、勝てるわけがありません。
右も左もわからないまま、必死にバットを振ったり走ったりして、くたくたに疲れるだけ。
あなたの就活も、そうなっていませんか?
目の前のエントリーシートをひたすら埋めて、山ほど説明会に足を運んで、それなのに就活の基本的なルールを知らないせいで、空回りして時間だけが過ぎていく。
これは、多くの学生がハマる危険な罠です。

そろそろ答えを言いましょう。
企業が内定を出す学生。それは以下の2つの条件にあてはまる人です。

「仕事で結果を出してくれそうか」
「会社のメンバーとして仲間とうまくやれそうか」

先ほどの「社会人のルール」を頭に置いて、考えてみてください。

会社としては、あなたが入社したら毎月毎月、給料を払うわけですから、それに見合う結果を出してくれる「能力」があるかどうかを、まず知りたい。ここでいう能力というのは、必ずしもあなたがいま持っているスキルではありません。

化学、薬、機械、電気といった理系の専門職であれば、学生時代に習得した知識が評価されることもあります。しかし、総合職や一般職の場合は、見られるのはもっと根本的な「人としての力」です。
たとえば、「他人を喜ばせるのが好きで、そのためのアイデアが出せる」人であれば、ウェディング業界、おもちゃのメーカーなどで力を発揮できるでしょう。目立たなくてもこつこつ努力できる人であれば、BtoBのメーカーや生活を支えるインフラ産業などが向いています。そうやって、あなたの特性と仕事をきれいに結び付けられるか。そこを、採用担当者は見ています。

さらに、組織の中に迎え入れるわけですから、仲間とうまくやれるか。いわゆる「社風」に合うかどうかも見ています。都会的なミッション系や、バンカラなど大学に「校風」があるように、会社にも社風があります。能力というよりは、一緒に働く人たちとの相性ですね。

このように、企業側は給料を支払う相手として、あなたを見ています。では、学生側はどうか。
「憧れの〇〇業界で働きたい」
「給料が高い」
「家から近い」
「仕事が面白そう」――。

これらはすべて、企業から「もらう」発想で、先ほど言った「社会人のルール」とは真逆です。こういうこと「だけ」を志望動機とする学生は多く、私はその人たちを「クレクレ星人」と呼んでいます。残念ながら、クレクレ星人は何十社、何百社と企業を受けても、なかなか内定をもらえないでしょう。

では、給与や、場所、憧れ……が悪いのかというと、そんなことはありません。「もらうものだけ」の視点で考えることが問題なのです。

「自分が得たいもの」と、「自分が提供できる価値」の両方の視点で就職活動に取り組むことが大切なのです。こういった人を「WIN-WIN星人」と呼んでいます。

就職活動のルールを理解する大切さが、わかってきましたか。
1つアドバイスしたいのは、どんなに優秀でも、最初から内定を取れる学生なんてめったにいません。あなたが私のアドバイスを理解して就活を始めたとしても、1社目からとんとん拍子に採用に進むことはないでしょう。なぜなら、何事も「やってみなければわからない」からです。まずは経験し、その結果をロジックと照らし合わせていくというのが順序であって、決して「ロジックありき」ではありません。

ですから大事なのは、実体験を積み、そこで気付きを得て改善する――いわゆる「PDCA=Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)」の 4 段階を、就活の中で繰り返し行うことです。早いうちからさまざまな企業で練習を積んでおけば、このPDCAを何度も回すことができ、いざ本命企業を受けるときの成功率が大きく上がるでしょう。

「エントリーシートで落とされる」「面接で先に進めない」という人は、必ず何か原因があるはずです。そこで「もっとたくさんエントリーシートを書こう」「ご縁のある企業に出合うまでがんばろう」と、同じやり方を続けても、前述した「クレクレ星人」が落ち続けるのと同じで、おそらく採用通知は来ません。

一方、不採用が続いたらいったん立ち止まって考え、やり方を変えながら前に進んでいくことができる学生は、時間がかかっても内定が取れます。そしてそのためには、人や本やニュースなど、気付きの機会を得るためのたくさんの情報ツールを持っておくことが欠かせません。

就活は大変だし、精神的なタフさも求められます。
でも一方で、新しい社会のルールを知り、仲間をつくるチャンスでもある。人生の大事な時期を共に乗り越えた仲間は、一生の友人となるでしょう。ですから説明会で隣に座った人などにどんどん話し掛けて、あなたの仲間を増やしていきましょう。「苦しい、つらい」と感じる中でも、「この状況を、いかに楽しむか?」という気持ちをもって、取り組んでみてください。

いま、あなたは学生から社会人への大きな転換期にいます。就活を通して、どれだけたくさんのアクションを起こし、たくさんの人やものと出会い、あなた自身が変化できるか。そのことは、これから始まる長い社会人人生の質を大きく左右するでしょう。あなたはその入り口に立っているのです。
どうぞ、自分の手で社会への扉を叩き、開いていってください。

  • 阿部 淳一郎(あべ じゅんいちろう)

    1974年生まれ。早稲田大学教育学部卒、筑波大学大学院(行動科学・ストレスマネジメント)修了。若手を対象とした人材開発・採用支援を行う株式会社ラーニングエンタテイメント代表取締役。数多くの大学で就職支援講座に登壇する一方、大手企業など20社で新卒採用に携わる。サンフランシスコ・シリコンバレーへも事業展開中。著書に『「PRするネタがない」と悩んでいる人のためのすごい自己PR作成術』(かんき出版)

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