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2015/11/27 00:00

やりたい仕事があるなら、企業や年収にとらわれない!-入社4年でトップになった元LINE社長が教えるシンプルな教えー

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マンガの第一人者・三田紀房が迫る“今すぐ役立つ仕事論”第3回! LINEを国民的サービスに育てた後、新会社を起こした最注目社長が登場!!

第1回目はコチラ

第2回目はコチラ

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三田 森川さんは35歳までに「これをやっておいて良かった」ということはありますか?

森川 漠然としているのですが、「どうしたら幸せになれるか自分なりに答えを出したこと」でしょうか。たとえば、僕がLINE株式会社の前身となるハンゲーム・ジャパンに入社したのは、36歳の時なんです。

三田 ご著書『シンプルに考える』にも、36歳で平社員として転職して年収も半減したと書かれていましたね。前職はソニー、そしてさらに前は新卒で日本テレビに入社されていたのに、思い切った転職をなされたなと。

森川 結果的には大正解でした。そういうチャレンジができたのは、やはり自分なりの幸せを探し続けていたからです。年収とか知名度とか企業規模とか、そんなことは関係ない。やりたい事業に関われて、成長できる環境にいられるほうが、絶対いいと思いました。※1

三田 講演会などをすると、よく「今の会社にいるべきか、転職すべきか迷っている」という質問が出てきます。

森川 どの会社に行くべきかよりも、「自分が結果を出せる場所はどこか」と考えたほうがいい。仕事の結果って、直属の上司にも左右されますよね。その上司がいい判断をできなかったら、可能性のある企画もそこで潰されてしまいます。まずは社内で結果が出せる部署を探し、そういうメンバーと一緒に仕事をする。そして、一緒に仕事がしたいという人が社外にいたら、転職も視野に入れる。

三田 なるほど。会社ではなく人で選ぶんですね。転職したいという方の話を聞くと、自分がやりたいことを会社がやらせてくれないという不満を持っていることが多いように感じます。

森川 僕も日テレに入社した時、音楽番組の制作を希望していたのに、与えられたのは「財務のシステム構築する」という仕事で、ちょっと死にたくなりました(笑)。だから、その気持ちはわかります。でも、ただ待っていてもやりたい仕事は降ってこないんですよね。だから日テレの時は「まず勝手にやる、そのあと認めてもらう」というスタイルをとっていました。※2 ソニーにいた時も、自分がやりたい事業を100回くらい提案し、社内の部署にかけあって、その事業に興味を示してくれるところを探しました。

森川 亮氏

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どんな仕事ができたら幸せですか?それができる場所はどこか、探すんです。(森川)

※1 「インターネットの登場に衝撃を受け、ネットビジネスに夢中になりました。でもやはり日テレやソニーといった大企業では、自由度とスピードが制限されてしまう。そこで社員30人のハンゲームに移ったんです」(森川氏)

※2 大学時代は「勉強はほとんどせず、ジャズバンドの活動にのめり込んでいました(笑)」と言う森川氏。希望と違う部門に配属になってからも、番組の企画を出すなどやりたい仕事へ近づくために、精力的に動いていた。

三田 自分で行動しないと始まらない、と。じつは、「やりたいことがやれない」のはまだよくて、最近は「やりたいことが見つからない」と悩んでいる若い人も多いんですよ。でも、そういう人の話を聞くと、じつはけっこう好きなことがあったりする。※3 それを仕事に結びつけて考えられないのかもしれません。

森川 人生におけるイベント、転職や結婚といったものは、劇的なチャンスや変化がある日突然訪れるものだと思っているのかもしれませんね。そんなことはないんですよ。ドラマチックな人生を送っているように見える人は、自分でそういう機会を生み出しているんです。

三田 森川さんも、傍からはドラマチックなサクセスストーリーを地で行っているように見えますが…

森川 そんなことありませんよ(笑)。僕だって、地味なことをコツコツやりながら生活しています。その積み重ねで、皆さんの目に触れるような成果が出ることもたまにある、というくらいです。そして、それには最初の1歩を踏み出すかどうかが、大きな分かれ道としてあるんじゃないでしょうか。

三田 ああ、それはありますよね。最後は「やるかやらないか」、そこが大事なんですよね。※4

上司に気を使うよりお客に向き合う

三田 読者の世代は自分の幸せを考える以前に、企業から設定された目標数字を追いかけて、毎日プレッシャーと戦っているんじゃないかと思うんです。

森川 日々の仕事は、努力で伸ばす領域とクリエイティブで伸ばす領域、その2つがあると考えています。努力で伸ばす部分は、だんだん成果が出なくなってくるんですよね。努力での伸びが頭打ちになった時に、リーダーがその次の階段をどう用意してあげるか。それがすごく重要です。

三田 リーダーが、ただ「がんばれ」しか言わない職場はつらそうですね(笑)。僕の事務所も15年くらい前までは徹夜ばかりしていたんですよ。漫画家ってそういうものだと思っていたんです。

森川 企業と同じですね。長時間働くことががんばることだ、と決めつけてしまっている職場も多い。

三田 でも、そうするとスタッフが2年くらいで辞めてしまう。体力が保たないんですよね。そこで、思い切って徹夜を禁止にしました。そう決めたら、みんなおしゃべりもしなくなって、集中してやるようになった。朝9時半から夕方6時半までと就業時間を決めてからは、スタッフも辞めなくなりました。

森川 三田さんの事務所でいえば、長時間働かなくても原稿が上がれば評価する。企業でも、長く働くよりも効率よく生産性を上げている人を評価すれば、働き方は変わっていくと思います。

三田 若いビジネスマンは「自分が評価されていない」という悩みを抱えている人も多いんですよ。

森川 一度自分を客観的に見て、なぜ評価されていないのか考えてみたほうがいいかもしれません。でも、そもそも、上司に評価されることがすべてかというと、そうではないと思うんです。※5

三田 ご著書にも、社内のことではなく、とにかくユーザーを第一に考えるということを書かれていました。

森川 上司の意向がどうであれ、お客さんが求めることをかたちにして、結果が出るのが一番ですよね。そうすると、結果的に社内の人も認めてくれるでしょう。そのやり方はリスクもあります。もし結果が出なかったら、辞めざるを得ない。そういう覚悟を持てるかどうか。

三田 うーん、たしかに。

森川 でも、僕はやっぱりユーザー第一で考えて働くほうが、楽しいと思います。そのほうが本質的ですから。そして、ユーザー第一の人が集まり、評価される会社じゃないと、会社そのものも伸びないと思います。だから、そういった企業文化をつくることが、経営者の一つの役割だと考えています。

三田 もし、「起業したいんです」と若者が相談してきたら、どう答えますか?

森川 「やってみなよ」、ですね。ダメだったら、会社に戻ればいい。もし、戻れないとしたら、厳しい言い方ですが、その人にそこまで能力がないということです。起業もうまくいかないと思います。社会において必要とされる人は、どんなところでも仕事があるものです。※6

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がんばるだけでは続かない。持続的に成果を出す仕組みをつくっちゃえばいい。(三田)

※3 「最近、休日はずっと動物園のダチョウを見ているという新人漫画家に会いました(笑)。僕はそれ自体が漫画のネタになると思うけど、本人は気づいていない。視点を変えると仕事につながることは、意外とあります」(三田氏)

※4 三田氏は起業家の堀江貴文氏から「起業したいという若者がたくさん相談に来るけれど、本当にやる人はほとんどいない」という話を聞いたという。つまり、最初の一歩を踏み出すだけで他と大きく差を付けられるのだ。

※5 長髪のバンドマンだった森川氏も、日テレ入社直後は部署の方針でラグビー部に所属し、髪も切ってゴルフを始めた。「でもだんだん周りに合わせるのがバカバカしくなって(笑)。仕事の結果で認められる方向に切り替えました」 (森川氏)

壁が立ちはだかったら逆にチャンスと捉える

三田 経営者として、事業アイディアはどうやって考えるんですか?

森川 突拍子もないことを思いつくというよりは、時流を見ながら、既存のビジネスとどう組み合わせられるか考えています。難しいのは自分でコントロールできないことを、どううまく巻き込んでいくか。LINEでいうと、スタンプのデザインがそうでした。

三田 コントロールできなかったのはどのへんが?

森川 最初は、有名なキャラクターを使ってスタンプをつくろうと思ったんです。すると、その権利を持ってる企業から、キャラクターの表情をスタンプ用につくることはできない、と言われました。でも、コミュニケーションにおけるスタンプって、その文脈に最も合ったものしか使われない。既存の絵ではダメなんです。だから、まずは誰も知らなかったとしても、オリジナルキャラクターでスタンプをつくろうと決断しました。

三田 そして絶妙に感情を表現できるスタンプをつくったことで、LINEはヒットしたんですね。

森川 最初に問題があるのは、逆にプラスになるんです。難しい領域ほど誰もやらないので、問題を解決できれば参入障壁になるんですよね。新事業を立ち上げるときは、「真似されない」というのは、重要なポイントです。

三田 真似されないにはどうすればいいんでしょう。

森川 儲けないことですね。

三田 え!?

森川 儲からない時代を長く経て、みんなが諦めた頃に儲け始めるのが一番うまくいくパターンだと思います。たとえばツイッター、グーグル、アマゾンなんかもそうですよね。最初はまったく儲からず、バカなことやってるなと思われながらも、やり続けて今の地位を築いた。そうなるともう、それまでのビジネス上のデータが蓄積されているので、誰も追いつけなくなってるわけです。

三田 なるほど。それはすごく腑に落ちますね。今度始められたC CHANNELは、その勝ちパターンが見えたと?

森川 まあ、儲からない状況が永遠に続くとマズいので(笑)、どこかで収益を上げて、他が追いつけない仕組みをつくれれば、という感じですね。しばらくは、ひっそりがんばろうと思います。※7

三田 ひっそり、最初は儲からないように(笑)。ご著書でも、常識に反することばかり書かれていてびっくりしましたが、その後ろにはすべて理由があるんですね。いやあ、しかし森川さんのような考え方をなさる経営者に初めて会って、すごく刺激を受けました。

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※6 「逆に、必要とされる存在になれていないとまずい。それに気づくタイミングは、早いほうがいいです。なるべく20代、遅くても30代半ばまでに気づいておきたいですね」(森川氏)

<7>※7 女性向けの動画コンテンツという新事業に挑む森川氏の目下の悩みは「解決してはいけない問題をどう放置するか」だそう。「問題があると解決したくなる性分なのですが、『かわいいとは何か』といった問題は議論しても答えが出ないので… (笑)」(森川氏)

金言!三箇条

一 年収や企業規模を目的にしない

自分がやりたい事業、成長できる環境を求めるべき。

二 待っていても仕事は降ってこない

自分で行動しないとやりたい仕事は手に入らない

三 ユーザーを第一に考えるべし

お客が求めることをカタチにして結果を出すのが楽しい。

対談後記

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・ビジネス界の伝道師!

・森川さんが話すことはスーッと心に沁みこんでいく。

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    もりかわ・あきら

    筑波大学を卒業後、日本テレビ入社。2000年ソニー入社、03年にハンゲーム・ジャパン株式会社(現LINE株式会社)入社。07年、代表取締役社長就任。15年に退任し、同年4月動画メディアを運営するC CHANNEL株式会社設立。初の著書『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)が好評発売中。

・イラスト/三田紀房 ・取材・構成/崎谷美穂 ・写真/林 紘輝(小学館) ・デザイン/井上則人デザイン事務所

出典 週刊ビッグコミックスピリッツ Np.41 より

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