『インベスターZ』の大ファンだという凄腕トレーダー・ウルフ村田こと村田美夏さんと三田紀房の対談が実現! 村田さんを紹介してくれたのは、天才FXトレーダー・福寄儀寛さん。対談前日、ツイッターで「遅刻しないぞ、遅刻しないぞ、遅刻しないぞ、※大事なことなので3回」とつぶやいていた村田さん。しかし、時間になっても現れない。無事に対談は始まるのか?
左からウルフ村田さん、三田、福寄さん
編集「村田さん、来ませんね」
福寄「いま電話があって、乗ったタクシーの運転手が近くで道に迷っているそうです」
編集「こんなに分かりやすい場所なのに?! でも今回は三田先生が相手だから、さすがにマメに連絡が来ますね。連絡ないまま30分遅刻とか、ふつうにありますから(笑)」
三田「まあ、気長に待ちましょう(笑)」
15分ほど遅れて、村田さんが登場。
派手に謝りながら席に着いた瞬間から、マシンガン・トークが始まった。
村田「『インベスターZ』は本当に大好き。女子投資部のインベスターPが通う桂蔭高校って、桜蔭高校がモデルでしょう? 私の母校なんですよ。私もPに入れるかな? 『ドラゴン桜』も読み始めてすぐ“バカとブスは東大に行け!”ってセリフを見て、ハイきた~、私のことだ!って(笑)。もう三田先生の作品はどれも引きが強いんですよ!」
対談が行われたのは、2015年9月上旬。米国の利上げ騒動に巻き込まれる形で、日本株が乱高下している最中だった。
三田「株式相場はしばらく大荒れですね」
村田「もう本当に! 投資って日本株が上がっているときは皆ご機嫌なんだけど、下がり始めると一気にギスギスしちゃって。そもそも株って“コツコツドカン”なんですよ。じっくりコツコツ待って、あるとき急にドカンと来る。それは上がるときも下がるときも同じで、資金が吹っ飛ぶことだってあります。それなのに投資には必ずリスクがあるということをわかっていない人が意外と多い。損すると“金返せ”って言う人がいるけど、リスクは最初から織り込み済みでしょう」
全員が話に聞き入る中、突如、村田さんがビニル袋を取り出した。
村田「ハイボール持参したので、飲んでいいですか?」
三田「あ、ハイどうぞ……」
村田「いただきます!」
福寄「なんだか、村田さんを囲む会みたいになってきました(笑)」
村田さんの手元には『インベスターZ』とハイボールが……
三田「最近、講演とかで地方に行くと、進学指導の先生から『ドラゴン桜のおかげで、生徒に東大受験を薦めやすくなった』とお礼を言われます。地方の進学校の多くは、教師や親が優秀な子にも冒険させずに地元の大学を薦める傾向があります。それが『ドラゴン桜』の影響で変わって来たって。そういう話を聞くと、あの作品を描いてよかったなあと思います」
村田「首都圏の裕福な家の子供だけじゃなく、多様なバックグラウンドの学生が東大に来るのはいいことです。『インベスターZ』では、中学生が投資をするという設定が最高。東大受験が変化したように、『インベスターZ』を通してこういう動きももっと広がるといいですね」
三田「親は子供にサッカーとかピアノとか、いろんな機会を与えるじゃないですか。その選択肢の一つに、株があってもいいと思うんです。日本は他の先進国に比べて、経済規模の割に株式投資に対する人々の意識が低い。おそらく株は金銭欲の象徴で、教育上良くないというイメージが強いからでしょう。株は大人になってから知ればいいという多くの人が思っている。でも30歳、40歳から投資を始めるというのでは遅過ぎるのではないか」
村田「アメリカ株は長い間右肩上がりで、こつこつ株を買って定年するころには大金持ちになっていたという人が結構います。逆に日本の株は戦前から上げ下げの幅が激しくて、損をした記憶のある人が多い。さらに、第二次世界大戦中に貯金が美徳とされたことで、ますます日本人の投資に対するイメージが悪くなったのだと思います」
福寄「結局、日本では株式投資への理解と経験が浅いがゆえに、負けて損する人が多い。その影響でさらに株のイメージが悪くなるという負の循環が起きています。私は子供のうちから、リアルな投資についてもっと学ばせるべきだと思います。社会の授業に株式市場の仕組みくらいは出てきますが、海外から莫大な資金が集まってくる投資という世界についてはほとんど触れません。早いうちから免疫をつけておくことで、日本人の根拠のない“投資へのアレルギー”が軽減されるのではないでしょうか」
三田「プロ野球では12球団で840人くらい登録選手がいますが、彼らを支えているのはその下にいる約19万人の高校球児です。つまりボリュームある底辺層によって、頂点にいるプロのレベルが維持されている。日本の投資も同じで、底辺の層をしっかり増やしていかないとトップの人たちのレベルが上がりません」
編集「なるほど。子供のうちから投資の世界に触れさせることは大切ですね。最後に、『インベスターZ』ファンのお2人に伺います。今後、マンガの中でどんな話を読みたいですか」
村田「ぜひ、『投資詐欺に気を付けてね編』をやってほしいですね。ある程度株で儲けて有名になると、いろんな人が寄ってきて中には怪しい話もある。でも出資金詐欺とか、だまされた人は恥ずかしいから口外しないんですよ。そうすると気を付けるべき点がなかなか投資家の間で共有されない。いいことだけじゃなくて、投資に関する犯罪など用心すべき点も伝える機会があるといいです」
福寄「私は、マンガの中で投資をする“人”にもっとフォーカスしてもいいかなと思います。投資を通して何を実現させたいのかを考えるべきなのに、口座の額が増えたとか減ったということに振り回される人が意外と多い。1億円稼いでも精神的に荒んでしまって、全然幸せそうじゃない人もいます。そうではなく、例えば投資で得た資金でやりたい事業をやるとか、ベンチャーに投資するとか、人生で挑戦できる機会を増やす手段にも投資はなり得ます。だから、ただお金を増やすためだけじゃなく、その先にある人生に投資をどう生かすかを考える場面がもっと出てくるといいですね」
三田「なるほど。お2人とも投資家ならではのリアルなご意見で、参考になります。マンガは難しいテーマを人に伝えるには最適のメディアなので、実際の投資で起きる問題も含め、いろんなネタを拾っていきたいです。今日の話に出たように、子供のうちから投資に触れる日本人が増えて、世界で戦えるトップエリート人材が輩出されていくのはとてもいいこと。『インベスターZ』がその役に立てればうれしいですね」
村田「稀代の投資家であるピーター・リンチや、ウィリアム・オニールの本を読むと、株式投資の醍醐味は単なるお金儲けではなく、企業の成長を共有することだとわかります。私はこの2人は尊敬していて、今でも投資の参考にしています。もちろんバフェットも素晴らしいですが、彼には欠点がある。それは、お金持ち過ぎること(笑)!」
三田「(笑)。本当に楽しい対談でした。お2人ともありがとうございました!」
★★ウルフ村田さん推薦!
村田さんが薦める、投資の鉄則を知るのに最適な3冊。
リンチはアマチュアの優位性を発揮した投資法、オニールは成長する企業の探し方を教えてくれる。ギャンからは投資のリスクを最小限に抑える方法を学ぼう。
『ピーター・リンチの株で勝つ―アマの知恵でプロを出し抜け』ピーター・リンチ (著)、 ジョン・ロスチャイルド (著)、三原 淳雄(訳)、ダイヤモンド社
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『オニールの成長株発掘法』ウィリアム・J・オニール(著)、パンローリング刊
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『伝説の株必勝法「W.D.ギャンの28鉄則」』林康史(著)、竹内和巳(訳)、小学館文庫
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むらた・みか
年間2億円を稼ぐ凄腕トレーダー。東京大学経済学部を首席で卒業し、日本長期信用銀行に入社。2000年にサラリーマン生活に終止符を打ち、昼はトレードをしながらお酒が好きという理由で、夜はキャバクラに勤める。2010年にサクセスワイズを設立し、代表就任。金融トレーダー兼エンジェル投資家として、海外や日本の複数の企業支援を行う。著作にDVD『株で年2億円稼ぐ東大卒トレーダー』がある
ふくより・のりひろ
東京大学法学部卒業。司法試験を目指していた学生時代に海外のゲーム仲間から教えられてFXを始める。以来、トレーダーとして稼ぐ一方、IT企業に勤務し、FX事業の立ち上げから取引ツールの設計、開発なども行なってきた。現在は自身の会社「イー・ソリッド」を立ち上げ大手企業のコンサルなどのIT業務を行いながら、FXセミナーの講師なども務める
★★ウルフ村田さんももらって感動した!
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