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『インベスターZ』と、投資家には欠かせない雑誌『会社四季報』とのコラボレーションが実現! 異色のコラボを記念して、9月29日に三井住友アセットマネジメント主催で「インベスターZで見る会社四季報・資産運用のイ・ロ・ハ」が開催された。当日は、マンガに登場する“四季報オタク”松井君をほうふつとさせるファンドマネージャーによる四季報の解説や、三田紀房本人による「10巻見どころ解説」で会場が盛り上がった。

インベスターZ 四季報編

「会社四季報は幕の内弁当です!」
イベントの冒頭で、三田紀房は投資家のバイブルをずばりと表現した。
一つの箱の中にさまざまな食材が細かく、きれいに並べられているお弁当のような雑誌。幕の内弁当は日本人独特の美意識に基づいているが、実は『会社四季報』も世界中で日本にしかないオリジナルの雑誌だという。

今回のコラボレーションでは、『インベスターZ』の中に“四季報オタク”松井君が出てきて四季報を紹介する。また、『会社四季報』2015年秋号は財前君と美雪ちゃんが表紙を飾る「特別限定版」を発行。巻頭で投資マンガも掲載するなど、創刊80年の老舗雑誌の初の試みとなった。

会社四季報のウェブサイトやAmazonで購入できる

巻頭には読み切りマンガを掲載

「東洋経済新報社って硬いイメージがありましたが、話を聞くとすごく面白くて。投資家におなじみの四季報の表紙を『インベスターZ』が飾るなんて思ってもみませんでした」(三田)

コラボレーションの記念イベントでは、三田紀房の進行のもと、東洋経済新報社の『会社四季報』編集長である広瀬康之氏、三井住友アセットマネジメントの株式運用グループ・シニアファンドマネージャーの木村忠央氏が「会社四季報トークセッション」を繰り広げた。

まず、広瀬編集長が『会社四季報』の歴史を説明。そこで出てきたのが、マンガでも紹介された昭和11年の創刊号だ。復刻版とはいえ、満州鉄道など当時の時代を反映する企業や、三菱重工業、東洋レーヨンといった名だたる企業が中小企業だったころの記録が掲載された貴重なモノである。広瀬編集長の言う「昭和・平成を通じて企業を見守ってきた雑誌」がもつ重みを実感できた。

次に「四季報を語らせたら日本で右に出る人はいない」という紹介で、ファンドマネージャーの木村氏が登場。

「上場企業全てを1冊にまとめた本は海外にはない」「コンパクトな中にすごい情報量が詰め込まれている。効率的で美しくて感動する」「コメントの文章がうまい」と冒頭から高いテンションで四季報の魅力を語る。「四季報は辞書じゃない。小説です!」という言葉が出たとき、四季報オタク・松井君を実在の姿で見た気がした。

思わず、広瀬編集長が「そんなにほめていただいてありがとうございます」とコメント。

「四季報は、今でも毎年少しずつ改善しています。去年は欄外に予想の強気・弱気を著すニコニコマークや泣き顔マークを入れ始めました。こういう細かい改善にも気付いてもらえるとうれしい」(広瀬編集長)

三田は創刊当時の日本の情勢に触れ、「2.26事件が起きて暗澹たる時代だったはず。そんなときに経済情報誌を世界で初めて出版した。しかも戦後もずっと作り続けて、同じ雑誌を80年間出し続けるというのは大変なことです」と編集部の“努力の歴史”を振り返った。

「四季報は小説」と言う木村氏は、「自分は1ページ目から読みますが、皆さんは大変だと思うので……(笑)」と、キーワードに注目する読み方を教えてくれた。

「たとえば2015年秋号では、『円安・原油安のダブルパンチ』『マイナンバー〇〇』という言葉がよく出てきました。目につくキーワードを探して読むと、日本経済の動きもわかって面白いです」(木村氏)

ちなみに木村氏は、新刊が出るたびに、注目する銘柄を語り合う「四季報飲み会」を開いているという。

四季報愛を熱く語る木村ファンドマネージャー

10巻のメインテーマは財前と慎司のFX対決だ。長期連載は飽きられないように盛り上げないといけない。その王道が「主人公とライバルの対決」だが、金融を使ってどういう勝負をするのかがなかなか思いつかず苦労したと、製作秘話を披露した。

「FXの仕組みはていねいに簡単に、本当に中学生でもわかるように描きました」(三田)

会場のファンからは、三田紀房への質問も多く出た。

「マンガの中で登場人物がいろいろと意見を戦わせますが、三田先生の意見は特にどのキャラクターに投影されているのですか」(会場)

「例えば円安・円高のどちらがいいかを議論するシーンで、円安の立場で先輩を論破しようとした財前君が、ふと一方の立場が絶対正しいということはないと気付く場面があります。私は両方の立場を提示してみなさんに考えてほしいと思っているので、意見の押し付けはしません。ただ、あえていちばん意見が近いキャラクターといえば、やはり財然君です。彼は結構過激なところがあるけど、それは僕の意見を代わりに発信してくれているから。そういうふうに想像して楽しんでください」(三田)

三田は『ドラゴン桜』でも、「バカとブスは東大に行け!」と過激なセリフを使い、大きな反響を巻き起こした。そのときに抗議する意見も多かったが、大歓迎だったと言う。

「マンガを読んで違う意見や反論が出るのはいいことです。読者が何も感じないマンガより、それがきっかけでいろいろ考えてもらうほうがいい。反論、おおいに結構。読者の意見を喚起できてこそ、マンガが成功したといえる。そう思って日々描いています」(三田)

三田流マンガ哲学に話がいったところで、プログラムは終了。投資について終始楽しく、笑いを交えて学べるイベントだった。

※三田が出演するイベントは、ホームページで事前にお知らせします。ぜひ足を運んでみてください!

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