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2017/01/16

絶対につぶせない家業のために私利私欲を捨てた ~麻生グループ・麻生巌社長インタビュー

財前:麻生社長が家業に戻られてから、売り上げを大きく伸ばしているそうです。

麻生社長:現在のグループの売上高は2,555億円ですが、このうち1,500億円くらいは私が入ってからの15年間で伸びたものになります。入社したときの経営状態は、売り上げに対して借入金が非常に多く、資産があるといっても流動性の乏しい田舎の土地ばかりで、強い危機感を持ちました。

財前:どうやったら、そんなにもうかる会社ができるんですか? 僕にもぜひ教えてください!

麻生社長:魔法のような特別な方法があるわけではないから、あまり期待しないでください(笑)。経営者としては常に利益が出るところを探し、確実に結果を出していく。当たり前のことですが、まずは収益性が大事です。私は2000年に家業に戻り、1年間で全ての事業を見るように言われました。当時社長だった父から「最初の1年は言いたいことがあっても口に出すな」と言われて、父のアドバイスはほとんど守れなかったのですが、これは守れたのではないかと思っています(笑)。

事業を回る中で、成功例の一つとして病院経営のコンサルティング事業の説明を受けました。診療報酬がマイナス会計になったり、ちょうど不良債権の増加が問題になっていたころで、病院だって経営が苦しいところが多いのは間違いない。ビジネスチャンスはあるしコンサルタントも優秀でしたが、適正なフィーをいただくという点がボトルネックになっていました。そうはいっても、病院にコンサルタント能力を認めてもらって適正なフィーを得るための交渉は難しく、手間がかかりすぎる。それよりも経営を改善する能力を高めることに集中したほうがいい。そう考えて、グループの提携病院を増やすことにしました。幸い、このビジネスモデルは成功し、医療分野は売り上げの伸びに大きく貢献しています。

☆写真2(飯塚病院外観)

財前:持っているリソースを使って、いかに事業を大きくするか。それを考えるのが経営者の役割なんですね。

麻生社長:当社の場合はもう一つ、地域の雇用を守るという役割もあります。創業の地であり、今も本社がある福岡県飯塚市は、市町村合併する前の人口がおよそ8万人で、筑豊地域全体でも40万人くらい。その中で、当社はグループで1万人以上と決して小さくない雇用を事業によって生み出しています。

プレッシャーとは思いませんが、地域のためにも会社をつぶしてはいけないという責任の重さは自覚しています。雇用は絶対に守る。例えばスーパーなどは収益性が低い事業ですが、地元の農家や商店から商品を仕入れたり、パートの方たちなどの雇用もあり、地域経済への貢献は小さくありません。こうした事業を存続していくことも当社の使命だと考えています。

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