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2016/03/29 09:36

元不動産営業マン暴露、賃貸契約で借主が不利にならざるを得ない「家主絶対主義」のカラクリ

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財前のように、大方の人が、不動産屋とは収益のほとんどが仲介手数料で成り立っていると思っているのではないだろうか。実は全くそんなことはないのだ。第1弾では「家賃交渉術」について紹介したが、第2弾では、ほとんどの人が知らなかった不動産屋の収益構造、その構造から生まれた不動産業界の「家主絶対主義」に切り込んでいく。この「家主絶対主義」に納得できず営業から身を引いたと語るのは、長年不動産業界に勤め、現在は不動産に関する情報を配信しているポータルサイト「グッドホームナビ」を運営している森山氏だ。

明かされる不動産屋の儲けのカラクリ

多くの人が、「仲介手数料」が不動産屋の主たる収益源だと思っているかもしれませんが、実はそうではないのです。一般的に不動産会社の利益の多くが管理費から捻出されています。売買が得意な不動産業者なら話が違ってきますが、平均的な不動産会社ですと、売買は多くても月に2軒程度。
そうなると不動産会社の利益の多くが賃貸による「仲介手数料」と、家主からの「管理委託費」ということになります。実際に私が以前勤めていた不動産会社では、仲介手数料=3割、管理委託費=7割という割合でした。

*** 注記 ***
管理委託とは…… 月々家賃の3%~5%ほどをもらい、クレーム対応や建物の清掃などを家主に代行して行うこと。最近は管理専門の会社に委託する家主が増えているが、本来は入居斡旋する不動産会社が管理まで統括して行っていたので、今でも不動産会社が管理を任せられている物件は多い。
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以前の会社で請け負っていた賃貸物件の例では、家賃が月に約12万円で、部屋数が40部屋ほどの中規模マンションがありました。 当然このマンションも管理委託を受けていた物件で、月々の管理費は家賃の5%です。

計算してみると、家賃12万円の5%なので、1部屋あたり6,000円の管理費が受け取れます。それが40部屋あるわけですから、月々この家主から得られる収益は、管理費だけでも6,000円×40部屋=24万円となります。これを年間で計算すると、24万円×12ヶ月なので、管理費だけで年間288万円もの金額となります。これだけの売上をもたらしてくれる家主がいたら、不動産会社が頭があがらないのも仕方ありません。また、管理委託物件の数はまったく違ってきますが、一般的には「地元大手業者>地元老舗業者>大手チェーン店」という順で、地元への密着度が高いほど、不動産屋が管理委託を受けている物件数が多くなります。

歪んだ収益構造が「家主絶対主義」を生み出した

家主にしてみれば、どうしてもその不動産会社に管理委託しなければならないという理由はありません。
そのため、家主の気分をちょっと損ねただけで多額の売上が他社へ流れてしまう可能性があるわけですから、どうしたって家主側の味方に立つしかないというわけです。こうして不動産業界に「家主絶対主義」なるものが醸成されたのです。

ちなみに賃貸を借りるときの仲介手数料をみても、本来なら仲介する手数料なのですから、家主側から50%、借主側から50%を貰うようにするのが妥当なはずですが、現状は立場の弱い借主側が100%負担させられていますよね。

この点からも、いかに家主の立場が強いかがわかると思います。

多少大げさに書きましたが、これが不動産会社と家主の関係だと思ってください。ちなみに私はこの「家主絶対主義」という風習にどうしても納得ができず、不動産の営業から身を引くことにしました家主絶対主義というのは、入居時だけではなく、もっと多くの場面で垣間見ることができたからです。

敷金問題について「家主絶対主義」から考える

一番如実に現れるのは、多くのトラブルの原因となっている「退去時の敷金問題」だと思います。

今はインターネット社会なので、ちょっと調べれば誰でも敷金について詳しく知ることができます。そうなると当然「敷金は返還されるべきだ」と考える借主が増えます。実際に国土交通省も、「敷金トラブル回避のためガイドライン」を作成しており、それに沿う形で原状回復してある場合は、敷金の多くは返還されるべきだとなっています。もちろん、このことは不動産会社も把握していると思って間違いありません。

しかし家主側の多くはご年配の人なので「ガイドライン」や「原状回復」「国土交通省がどうたらこうたら」という話をしても、チンプンカンプンで何を言っているのか理解できない人が多いのです。このような年配の家主は昔ながらの考えが抜けきらないので、壁紙の交換、畳の交換、部屋のクリーニング費などは、すべて借主の負担で行い、その費用は敷金から差し引くのが当然と思っています。

このようなギャップによって、借主側から敷金返還についてクレームが入るわけですが、不動産会社からすれば、ここが「腕の見せどころ」となります。敷金返還に関するトラブルは年々増えていますが、それをすべて家主側に報告していたら、不動産会社は信頼を失ってしまい、管理委託物件を引き上げられてしまう可能性があるからです。

よって不動産会社の営業マンは、あの手この手で言い訳を作って、借主を説得するために汗をかきます。その結果として借主が説得されてしまえば、見事に家主側が得をするというわけです。

それでも借主のために働きたい

上記のような営業マンの話から、営業マンはあたかも家主の絶対的な味方だと思われるかもしれませんが、そうではありません。借主のために働く営業マンは確実に存在して、頑張っているという事実はお伝えしておきたいです。

例えば借主が希望する物件の条件(地域・家賃・間取り)が、自社で直接仲介している賃貸では希望に沿わない場合でも希望に合う物件を他社から必死で探してくる営業マンだっているのです。

他社の賃貸物件を探すのは、皆さんが思っている以上に手間と時間がかかります。なぜかと言えば、大手のポータルサイトに掲載されている賃貸物件は全体の7割くらいで、残りの3割はポータルサイトに登録していない小さな不動産会社が扱っている物件だからです。それらの物件まで網羅するには、相当な時間を要するのです。そのため、多くの営業マンは就業時間を過ぎても夜遅くまで会社に残って仕事をしているというわけです。

長くなりましたが、不動産業界には昔から不平等な風習が多く残っています。
最近では少しマシになったとはいえ、まだまだ借主側が不利なケースが多いです。そんな借主のために働いている営業マンがいることも是非覚えて頂きたいです。

■終わりに
いかがだっただろうか。大人になっても知らないことはたくさんあることに気が付かされたはずだ。
今後も、あなたの知らない「業界の謎」に迫っていくのでご期待あれ。

  • 【プロフィール】
    森山 祐一(もりやま ゆういち)

    グッドホームナビ管理人。
    大手アパート会社で建築営業として3年勤務。入社一年目で6棟(7億3000万)の契約を取り社長賞を授与される。その後、ハウスメーカーで営業職5年、不動産会社で管理職として4年勤務。現在は、不動産会社とハウスメーカー、リフォーム会社などを繋ぐ会社を立ち上げ、いまだに古い体質が残る不動産業界に、インターネットを使った新しいネットワークの構築を目指している。
    関連サイト:グッドホームナビ

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