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前代未聞の授業が開講

学校で、授業をしてもらえませんか――。

中学1年生の財前孝史が、投資の世界で大活躍。

そんな世にも珍しい投資漫画『インベスターZ』を描いている三田紀房さんのもとに、一件の依頼が届いた。都立荻窪高校で、生徒たちに話をしてもらいたいという話だった。

「もちろん、ぜひ!」と、学校へと赴いた。公教育の場では前代未聞。「お金の授業」が、ここに開講!

漫画家をしている三田紀房です。いま、「週刊モーニング」というコミック誌で『インベスターZ』という漫画を連載しています。この作品、主人公が中学1年生の男の子で、彼が株を運用したりする。投資の世界を舞台にしていて、つまりはお金がテーマです。

そこで、今日もここでお金の話をしたいと思います。みなさんが日ごろ使っているお金は、お小遣いが中心でしょうね。親からもらったものを自分でやりくりする範囲に留まっていて、自分で稼いで食べているというわけにはいきませんね。数年後には自分で稼いで生活することになるでしょうけど、お金のことって、まだなかなかピンと来ないのが正直なところではないですか?

あまり実感がないのは、しかたのない面もありますね。学校の授業ではお金について学ぶことなんてまずないですし、家庭でも両親からお金について話を聞く機会ってあまりないでしょうから。

若いうちは、なるべくお金の話に触れさせない、それが日本の風土です。じゃあなぜ、日本の学校や家庭では、お金について教えたりしないんでしょうね? これには、はっきりとした理由があります。お金を目的とした人間になってほしくない、そんな希望があるからです。

お金を目的とした人間になると、その先には不幸が待っているんですよ。というのは、お金を目的にすると、なるべくお金を使わないようにということばかり考えて、必ずケチになってしまう。ケチな人間は、人から嫌われます。周囲との人間関係がうまく築けなくて、ひとりぼっちになり、不幸になってしまう。

それから、お金を目的とする人間は、嘘つきにもなります。お金を守るためには手段を選ばないからです。嘘つきは信用されません。すると、やっぱり人が離れていき、不幸になってしまう。

そうならないように、大人は子どもをお金から遠ざけようとするのです。一理はあります。けれど、です。ちょっと考えてみてください。あと数年してみなさんが社会に出れば、自分でお金を稼がなければならなくなります。否が応でも、お金に触れないといけないわけですね。見て見ぬふりをしてやり過ごすなんて無理。ならばやはり、お金を目的とはしないかたちで、お金についてしっかり考えなければいけないのです。

生涯年収や初任給に、根拠なんてない!?

ここに、漫画付きの質問をいくつか用意しました。一つ目を見てください。
「サラリーマンの生涯年収っていくらなんだ!」
とありますね。これ、考えたことありますか? 自分は社会に出て、一生のうちどれくらい稼げるのか。あまり見当つかないのではないですか。でもこれは、数字としてはっきり算出できます。サラリーマンなら、多い人でおよそ3億円といわれています。低いほうだと1億5千万円。どうです、ピンとこない? 3億円って、見たことないでしょうしね。

でもともかく、たとえば大学を出て60歳の定年まで、一生サラリーマンを続けると、だいたいそれくらいの給料が手に入る。じゃあ、なんで1億5千万円から3億円なのか。数字の根拠って、あるのでしょうか。そこに疑問を持ってほしいんですね。

就職して最初にもらう初任給もそうです。どれくらいもらえるか、知っていますか。大卒の平均だと、23万円くらいと言われています。ただし、それは額面のお金。税金や諸経費を引くと、17~19万円くらいの現金が手元に残る。これもなぜ約23万円なのでしょう。

学生を終えた若い人が、一人暮らしでなんとか生計を立てられる金額がそれくらいなのです。べつに、新入社員の労働への対価を計算して金額が決まっているわけじゃありません。なんとか生活できる額が、会社から支給されている。単にそういう仕組みだというだけです。生涯賃金も、同じような考えのもとにできています。2億円あれば、結婚して子どもを育て、家を買って家族がそこそこ幸せに暮らせる。だからそれくらい支給しますということになっています。

操られているようでイヤな気がするかもしれませんが、事実としてこの金額がひとつの基準になっています。額がこれより下回ると、いわゆる貧しい生活になってしまう。自分の人生を、生涯年収をどれくらいに設定するかという視点から、考え設計してみることも必要なのかもしれませんよ。3億円もらえればじゅうぶんだと満足するのももちろんいいでしょう。2億円を下回っても、気楽なほうがいいんだという人もいるでしょう。または、3億円じゃ足りない、もっと稼ぎたいんだと考えたっていい。

みなさんは、それぞれ夢をお持ちだと思います。自分の夢が、どれくらいの生涯年収につながるだろうか。そういう発想も必要ですよ。私のことを例に挙げますと、漫画家という職業を選んだわけですが、漫画家はいわゆる儲かる仕事とされています。みなさんご存じの週刊少年ジャンプとか週刊少年マガジンといったメジャー漫画誌でヒット作を出せば、3億円を軽く超えるお金が稼げます。俗にいう、一発当てれば大きい仕事なんですね。

ただし、いいことばかりじゃありません。失敗する恐れもかなりあるので。成功する人もいるが、その裏にたくさん失敗した人が存在します。そこには「リスク」という言葉が見え隠れします。リスクを抱えてでも、一発当てる職業に就くか。リスクを回避して堅実な人生を送るか。そこで人生設計の描き方も大きく変わってきますよね。

先ほど先生方に聞いたところでは、みなさんのなかには、エンターテインメント系の仕事に就きたい人が多いそうですね。声優だとか、アニメ関連の仕事とか。そういう仕事は、確かにかなり稼げる可能性があります。けれど、やはりリスクも高い。それを承知で挑戦するか、またはもっとコツコツ働く道を選ぶか。どちらでもいいのですが、夢を抱くときの判断基準に、お金のことも取り入れると、考えがより明確になってきますよ。

みなさんに、しっかり稼いでほしい!

もうひとつ質問の紙を用意してきました。こちらです。
「金で幸せや自由は買えると思うか?」
と書かれていますね。どうでしょう。お金で買えないものなんてないと、以前だれかが言っていました。それを聞いてどう思いますか。そんなことはない、買えないものもたくさんあると思いますか?

でも実は、みなさんが想像するよりもずっと、お金で解決することは世の中にたくさんあります。ちょっと殺伐とした言い方に聞こえるかもしれませんが、たとえば、健康もお金で買えることはあるんじゃないでしょうか。

ガンという病気に効く、いい治療薬があるとします。ただし一粒100万円だという。100万円をポンと出せる人は、ガンを克服できるかもしれない。これ、健康をお金で買ったといえませんか。実際そういう場面は、社会に出ると遭遇することもあります。

先ほど言った、2億円で得られる「ふつうの幸せな生活」も、やはりお金でそれを買っているともいえます。結婚して子どもをもうけ、家や車を持ち、子どもを進学させて孫の誕生を楽しみにして……。幸せのカタチが、2億円で手に入るわけです。

若いうちは、先のことなんてどうでもいい、今がよければと発想するのがふつうです。でも本当は、いくら今がよくても、将来の見通しがよくなければ、幸せな気持ちで暮らすことって難しい。だから、やっぱりお金は稼いだほうがいい。稼ぐ道筋が見つかってこそ、自分の人生を形づくっていけるし、生活が充実していくものです。

「質問2」の答えとしては、お金で幸せのカタチは買える、としておきたいと私は思います。カネ、カネ……と言うと、イヤな感じに響くかもしれませんが、どんなことであれ、人より知識を持っているというのは、生活を豊かにする糧になるものです。お金についてちゃんと考えることは、人生においてきっと役に立ちます。ましてやみなさんは、お金の話題からいつも遠ざけられて生活しています。すこしでもそこに目を向ければ、これからの人生を構想するうえで、プラスになるはずですよ。

今、日本の若者は貧しくなっているといわれています。調査によると、若者の4割が年収200万円以下です。正社員ではなく非正規雇用、アルバイトとして働く人が増えているからです。仕事のスタート地点が非正規雇用だと、そこから2億円稼いで幸せのカタチを得るのが、ひじょうに難しくなる。

200万円以下だと、なんとか食べていくことができるだけになって、生活が荒れてきます。できるだけ貧しさのサイクルに入らないように、がんばったほうがいいのではありませんか。現実をきちんと見据えて、ちゃんと稼いでいける道を探しましょう。日本には一発逆転のチャンスだってたくさんありますから、そうした「ジャパンドリーム」の機会を調べてそこを狙うのもいいでしょう。いずれにしても、自分の人生をより充実させるために、お金を考えるヒントに使ってみること。それを私から強くおススメしておきます。みなさんの人生がいいものになるよう、がんばって稼いでください!

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