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1年中リクルートスーツに身を包んで、内定が出るまでさまよい続ける日本の就活生。そんな悩める学生たちに、カリスマ転職アドバイザー・海老沢康生が「必勝」のアドバイス! これを読んで、就活という名の人生の投資に成功しよう!!

「主観情報」に惑わされるな!

 

 就職活動はいまや、学年や時期など関係ない。飛び交う情報も加速度的に増え、就活生はますます忙しい。そんなときこそ、本当に必要なことに集中しなければならない。そうでなければ、勝ち抜くことなどとても望めないだろう。

 ではここで、就活を有利に運ぶための秘訣をひとつ、皆に伝えておこう。それは「情報を得よ!」ということだ。 情報が大事なことは誰でも知っていると思う。しかしほとんどの就活生は、質の悪い情報に翻弄され、「人生の投資」である就活に失敗する。

 いいだろうか、ひと口に就活における情報といっても、そこには2種類あることをまず押さえておかなければならない。 それは「主観情報」「客観情報」だ。ここでいう「主観情報」とは、つまり〝広告〟のことだ。就職ナビサイトや就職情報誌で世に出回っている就職情報のほとんどは、企業からカネをもらって書かれている、企業にとって都合の良いものである。まさに主観的な情報のオンパレード。偏りがあるし、実態を正しくは指し示していないことも多い。

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 対して「客観情報」とは、利害関係のない第三者が取材などをもとに集めた情報だ。経済誌や新聞などの記事がわかりやすい例だろう。これをいかに得るかがポイントになるが、昨今は一見では広告だとわからないような情報、客観情報を装った主観情報が氾濫しているので、油断をするとついそれらを鵜呑みにしがちである。

「比較する」ことで基準をつくる

 

「客観情報」を的確に得るための武器として就活生にオススメしたいのが、『就職四季報』だ。

 名前だけ聞いたことがある人も多いかもしれないが、四季報は企業からの「広告」情報ではなく、独自調査によって企業からデータを収集し、掲載している。「就職四季報 総合版」に載っているのは約5000社分。まさに客観情報の宝庫と言える。

 この膨大なデータを、ただ漫然と眺めていても得るところは少ない。では、どう使えばいいか。端的にいえば、「比較せよ」だ。人は何かを比較することで、初めて理解を深めることができるものである。

 日本にはおよそ400万の会社があって、そのうちの99・7%は中小企業だ。だれでも名前を知っている会社なんて、ほんのひと握りしかない。就活生にかぎらず、誰にとっても、企業については無知の状態といっていい。だから、データを比較して一つずつ事実を確認していくしかない。

 『就職四季報』を繰って、まずは知っている会社に目を通す。そのデータを基準に、同業他社のページも見てみる。記事を読み、数値を見比べることを繰り返すと、徐々に自分のなかに判断の基準ができてくるはずだ。そうして初めて、「この企業の優れている点はここに違いない」「この部分で自分と相性がよさそうだ」「名前は知らなかったけど、将来性がありそう」といった判断だってできるようになる。

自己分析より企業分析!

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 『就職四季報』を活用し、比較せよとは、つまり「徹底的に企業の研究をしろ!」ということ。勘違いが多いので強調しておくが、就活でモノをいうのは、自己分析などではなくて、企業分析である。

 就活生はとかく自己分析ばかり追求しがちだ。やっていると、新しい自分を発見できた気がして、心地いいのはわかる。ただ、忘れてはいけない。会社というのは、ありのままのきみのすばらしさなど、知りたいとは思っていない。企業が知りたいのは、その組織にとって役に立ってくれる人材であるかどうかという一点のみだ。

 まずは企業分析が先にある。企業を知ってようやく、そこで自分が何を為せるか、能力をどう生かせるかが見えてくる。自己分析より企業分析のほうが難しくてつらいが、その作業こそ就活の突破口となる。しっかり『就職四季報』を読み込んでいくといい。

 そうしていると、世にはこんなに知らない会社があるものかという気づきがきっとある。そのなかから思わぬ優良企業や、自分とマッチする企業だって見つかる。

 とりわけ、エンドユーザーと直接関わらないBtoB企業には着目したい。一般には名が知られていないので、多くの就活生にはいわばノーマーク。そこに「隠れ優良企業」は潜んでいる。

 マンガ本編で財前は、医薬品パッケージ印刷分野でトップシェアを誇る朝日印刷という会社を見出す。これは実在の隠れ優良企業の例だ。自分のなかに基準をつくり、それに沿って自分なりの発見をする。そうした営みだけが、企業「分析」と呼ぶに値するのだ。

見るべきは「NA」と「記者評価」

 

『就職四季報』を読み込んでいくとき、注目すべきは「NA」という記述である。これは他の就職情報誌にはないポイントだ。NAとは「No Answer」の略。同書の掲載項目は各社からの調査票への回答がベースになっている。空欄があればその企業に開示の要請をするが、それでも企業側がその項目は開示しないとしたときはNAと記される。

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 NAは何を表すか。その項目の数値がよければ、企業は開示をためらわないはず。あえてNAにするからには、数値が芳しくないのだと想像できる。たとえば残業時間の項目がNAだった場合、おそらくは残業が多いのだろうと解釈してほぼ間違いない。離職率や平均給与の金額もしかり。NA表示は、企業の実態を把握する大きな手がかりとなる

 「記者評価」の項目もしっかり目を通したい。日頃、日本の企業情報の基礎となる『会社四季報』のための取材をしている記者が執筆しているゆえ、内容は確か。事業展開の概略や近年の経営方針などがコンパクトにまとめられている。くわえて「社風は職人気質」(ニコン)、「来客時には白いジャケット着用」(山崎製パン)など内実を知る手がかりも豊富だ。

 就活で時間を割くべきは、企業の広告情報を山ほど集めることでも、終わりのない自己分析を繰り返すことでもない。『就職四季報』による企業分析をとことん深めていくのが、勝利への道だ。

 一般職の採用・試験情報や既婚率を完備した『就職四季報 女子版』もあるので、うまく活用したい。入りたい企業の目星がついたら、『会社四季報 業界地図』で業界の全体像を把握すると、いっそう理解も深まるだろう。頭と身体をフルに使って、あとは行動あるのみだ!

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出典:『インベスターZ』5巻巻末記事
協力:就職四季報(東洋経済新報社)

 

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