3月23日に発売された『インベスターZ』12巻には、『会社四季報』をこよなく愛するキャラクター・松井君が登場する。四季報の魅力をしゃべり出したら止まらない、四季報オタクの松井君に財前は珍しく押されっぱなし。今回は『インベスターZ』12巻発売を記念して、松井君が会社四季報の中から「将来性あるニッチ企業」を紹介していくコーナーをお届けする。HP限定の「松井劇場」の始まり、始まり!
松井:
あれ、財前が自分から四季報を読んでいる!
財前:
わ!びっくりした。松井か。うん、ただこうして読んでいるだけでも、いろいろな社名があって案外面白いものだな。
松井:
そうだろう?社名からどんな会社かを想像するのも楽しいんだよ。例えば…ここは何の会社だと思う?証券コード6184の鎌倉新書。
財前:
鎌倉新書?新書というくらいだから、出版社とか?
松井:
ふふふ。実はね、葬儀、仏壇、お墓のポータルサイトを運営している会社なんだ。
財前:
えっそうなの?何でこの社名なんだろう。
松井:
始めは財前の言う通り、仏具・仏壇業界向け専門雑誌の出版社として1984年に創業したんだ。でも、仏具や仏壇は葬儀からお墓までの流れの、ほんの一部に過ぎない。事業者から見れば、仏具は仏具、お墓はお墓というように別々のものだけど、実際にご家族が亡くなられた方から見ると、それらは一連のものなんだ。そこで鎌倉新書は事業者のニーズに応えるのではなく、顧客のニーズに応えられるように情報を提供することにしたのさ。時代に不可欠になったネットを使ってね。
財前:
なるほど。「顧客のためになること」を大切にしたんだね。具体的には葬儀を行っているということ?
松井:
違うよ。鎌倉新書は葬儀屋などを紹介する会社なんだ。長年業界誌を発行していたから事業者と強いネットワークがあり、情報量も多い。それらの強みを生かして、「いい葬儀」「いい仏壇」「いいお墓」という3つの自社サイトを作り、運営しているんだ。自分たちが葬儀を行うのではなく、あくまで紹介者だからこそ、第三者目線で顧客のニーズに正しく答えることができるんだね。ほら、最新号の四季報を見てごらん。
財前:
【続伸】葬儀、お墓、仏壇とも紹介手数料や広告収入が着実増か。しっかりしたサービスだから、業績も着実に伸びているんだね。あれ、ヤフーエンディングというのは何?
松井:
「ヤフーエンディング」というのは鎌倉新書がヤフーと2011年から共同運営しているサイトだよ。鎌倉新書はこのサイトで自社が持つ情報を提供しているんだ。自分たちの会社がうまくいけばいいという独占的な考えではなく、顧客が求める情報を、求める形で届けられるように、手段を変えることを厭わない。だから、以前は出版社だった自分たちのことを今は「情報加工会社」と呼んでいるよ。
財前:
葬儀などに関しての情報が必要になる時はきっと慌ただしいから、間口を広くしてくれるのはありがたいな。高齢化社会だから、情報を求める声は増えているだろうしね。
松井:
うん。高齢化社会と呼ばれて久しい今は、それに関係する事業も増え、終活やエンディングノートという言葉もすっかり馴染みのあるものになった。ただ、鎌倉新書は終わりを迎える手伝いだけでなく、繋げる手伝いもしているんだよ。財前は「孤育て」という言葉を知っているかい?
財前:
孤育て?
松井:
夫や親との繋がりがなく、近所との関わりもない孤立した状態で母親が子育てをすることを孤育てというんだよ。鎌倉新書は、そういった家庭の子どもや、身体的ハンデを持った子どもへの寄付を高齢層から募ることで支援しているんだ。「公益法人つなぐ命基金」という活動だよ。命が新しい命に繋がる社会、素敵な活動だと思わない?
財前:
会社という枠を超えて、未来のことを考えて人と人との繋がりを作っているんだな。
松井:
そう!人と人との繋がりが今の時代は弱くなっている、とよく言われているけど、鎌倉新書はその繋がりを大切にしようとしているんだ。繋がりがあると、「ありがとう」が生まれるんだよ。「生まれてきてくれてありがとう」「今までそばにいてくれてありがとう」ってね。「ありがとう」を感じる場面の手伝いをすることによって、社会を豊かにしようとしている。これは僕が好きな鎌倉新書の理念だよ。
財前:
ありがとう、か。そういえば最近言っていないかも…。言った方がいい場面はいっぱいあるんだろうけどな。
松井:
そうだよ。「ありがとう」が必要な場面は実は沢山あるんだ。鎌倉新書は、「ありがとう」の手伝いをしようとしているから、業務を葬儀関係のみに絞るつもりはないみたいだ。今後も注目すべき会社だね。それじゃあ財前、たくさん教えてあげたんだから、僕に何か言うことがあるんじゃない?
財前:
ええ?あ、ありがとう・・・。
☆松井君×会社四季報コラボ企画シリーズ☆
Vol.1 虹技~マンホール女子も注目! 虹色の技を持つ会社
Vol.2 シマノ〜街乗りからレースまで!こころ躍る瞬間を作り出す会社
これからも毎回、松井君が『会社四季報』を片手に、知られざる日本のニッチ企業を紹介していく。投資の銘柄選びに役立ち、ウンチクにも使える情報をお伝えしていくので、ぜひお楽しみに!
◆『インベスターZ』と『会社四季報』が夢のコラボレーション!
なんと、財前と美雪が『会社四季報』の表紙を飾りました!四季報が始まって以来、初めてのマンガとのコラボです。描き下ろしマンガ「『インベスターZ』財前くんと学ぶ 会社四季報ラクラク活用術」もダウンロードできるので、ぜひ東洋経済のウェブサイトでチェックしてみて。四季報の発行月は、3月、6月、9月、12月。「『インベスターZ』のコミックと同じ」と思って覚えよう!
情報協力:『会社四季報』編集部
関連リンク:東洋経済の株式投資メディア
関連書籍:『会社四季報』2016年2集 春号