3月23日に発売された『インベスターZ』12巻には、『会社四季報』をこよなく愛するキャラクター・松井君が登場する。四季報の魅力をしゃべり出したら止まらない、四季報オタクの松井君に財前は珍しく押されっぱなし。今回は『インベスターZ』12巻発売を記念して、松井君が会社四季報の中から「将来性あるニッチ企業」を紹介していくコーナーをお届けする。HP限定の「松井劇場」の始まり、始まり!
財前:
最近ああいうロードバイクが増えたよね。僕も自転車通学してみたいけど、ちょっと危なそうなんだよなー。
松井:
ふふ。財前、そんな時はシマノの部品を搭載している自転車を選ぶのが一番安全だよ!
財前:
シマノ?
松井:
シマノっていうのは変速機・ブレーキ部品などの自転車部品メーカーで世界首位の会社だよ。なんと言っても、安全面での信頼の高さは世界一じゃないかな!これにはちょっとしたエピソードがあってね、1981年に、シマノがAXシリーズという空気抵抗減少に着目した自転車部品のシリーズを発表した時のこと。そのシリーズが発売当初から世界的な大反響を巻き起こしたんだけど、すぐに強度不足で破損が相次いだり、実際に空気抵抗が減少された実感がないなどの問題が起きて失敗作の烙印を押されてしまったんだ。でもそこで終わらないのがシマノのすごいところなんだよ。その失敗の教訓から、製品化前にプロによる実践テストを入念に行うようにして、完成度にこだわり抜いて会社への信頼を回復させた会社なんだ!
財前:
大失敗から信頼を回復するなんて、大変なことだよな。
松井:
そうだろう?ほら、これが当時の四季報だよ。
財前:
なんでそんな昔のものまで持っているんだよ!
松井:
興味を持ったら、過去の事も知りたくなるのは当然だろう。当時は社名が島野工業というんだ。今の社名になったのは1991年だよ。ちなみにシマノの証券コードは7309。そして、これが最新号の四季報春号の記事。
財前:
お前の四季報オタクは相変わらずだな。
松井:
シマノが扱っているのは主に高価格帯の部品だね。最近の自転車ブームはロードバイクが中心だから、サイクリストではほとんどの人が知ってるんじゃないかな。だって市場の占有率6割超えだよ!ロードバイクって結構高くて、初心者向けでも10万円はするし、パーツに凝ったものだと100万円台のモデルだってあるんだ。ロードバイク購入ローンというプランを提供している銀行すらあるんだから、自転車ブームは、すっかり一般に定着している感があるね。実用品としてだけでなく、高級な嗜好品としてもね。
財前:
100万円もするのか。そんなの、プロ以外で買う人がいるんだ。
松井:
シマノはプロの世界でも常に挑戦を続けてるんだよ。ツール・ド・フランスって聞いた事ある?
©stockvault
財前:
ああ、確か自転車のレースの?
松井:
そうそう、さすがだね。その世界的レースで、シマノの部品を採用しているチームは22チーム中17チームもあるんだ。そしてシマノがスポンサーとなって機材供給しているのが7チームもある。最先端の技術が要求されるプロのレースで選ばれ続けるというのは、技術面、安全面ともに信頼されている証拠だよね。
財前:
職人集団というか、一つのことをとことん追求する頑固な社風なんだろうね。
松井:
そんなことはないと思うな。シマノは世界で自転車レースを開催したり、自転車部品部門と2本柱の釣り具部門でも釣り選手権を開催したりと、面白いイベントも色々やっているよ。部品を作るだけでなく、「テクノロジーと感性を融合させた<こころ躍る>瞬間を届けることを目指している」という理念があって、実はとてもロマンチックな会社だと思うな。
財前:
へえ。興味が湧いてきたな。
松井:
そうだろう?ちなみに最新の四季報春号では釣り具は堅調維持。主力の自転車部品は順調増だって。ほらここ見てよ。「【業界初】MTB用の電動アシスト部品を今下期に発売」というところ。何が業界初かというと、変速機をスイッチで切り替えられるようにしたんだ。今までの変速機はワイヤーを引っ張ることで歯数の違う歯車に変えていっていたのだけど、それだと坂などで運転している時にかなり腕に重さがかかったり、ワイヤーが劣化することがあった。だけど、変速機を電動にすることによってスイッチを押すだけで変速が可能になるんだよ。シマノという会社は、何がどうなったらもっと楽しいだろう、もっと楽だろう?ということを常に考えているんだね。
財前:
どんどん挑戦し続けていく会社か。注目してみるよ。
松井:
うん。シマノの良さが伝わってよかったよ。じゃあ、財前のロードバイクでも買いに行こうか。
財前:
え、いや買いたいとは一言も言ってないけど・・・。
☆松井君×会社四季報コラボ企画シリーズ☆
Vol.1 虹技~マンホール女子も注目! 虹色の技を持つ会社
これからも毎回、松井君が『会社四季報』を片手に、知られざる日本のニッチ企業を紹介していく。投資の銘柄選びに役立ち、ウンチクにも使える情報をお伝えしていくので、ぜひお楽しみに!
◆『インベスターZ』と『会社四季報』が夢のコラボレーション!
なんと、財前と美雪が『会社四季報』の表紙を飾りました!四季報が始まって以来、初めてのマンガとのコラボです。描き下ろしマンガ「『インベスターZ』財前くんと学ぶ 会社四季報ラクラク活用術」もダウンロードできるので、ぜひ東洋経済のウェブサイトでチェックしてみて。四季報の発行月は、3月、6月、9月、12月。「『インベスターZ』のコミックと同じ」と思って覚えよう!
情報協力:『会社四季報』編集部
関連リンク:東洋経済の株式投資メディア
関連書籍:『会社四季報』2016年2集 春号