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本日発売の『モーニング』では、さくらちゃんのお母さんが、喫茶店の常連客の主婦を相手に「家計のやりくり術」を披露するストーリーが展開されている。「支出を削るのでなく、やめること」という教えにハッとした読者も多いのではないか。今回は、ベストセラー『正しい家計管理』(WAVE出版)の著者・林總さんに、家計を黒字にするコツを聞こう。

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「家計管理が大変」というのは勘違い

家計管理と聞いて、反射的に「大変そう」「イヤだな」と感じる人は多いと思います。毎日細かく家計簿をつけて、生活費のムダを見つけては削る…。そういうプロセスを想像して、げんなりしてしまうのでしょう。
でも実は、そんな大変な思いをしなくても家計は黒字化できるのです。私が勧める家計管理は、「家計簿はつけなくていい」「食事や買い物の楽しみを減らし過ぎない」というもの。読み終われば、きっと実践したくなるはずです。

家計の「見える化」から始めましょう

家計黒字化を目指すときに、最初にやるべきなのは家計の全体像を「見える化」すること。あなたの家庭にどれくらいの財産があり、毎月の収入と支出がいくらなのかを、ざっくりでいいので把握することから始めます。

まずは、「財産目録」を作ってあなたの家庭の全財産をチェックしましょう。ノートを1冊用意し、預貯金や不動産、株式などの資産、持ち家の人は住宅ローンや自動車のローン、保険などを全て書き出してみてください。

さらに、それらの項目を「プラス財産」と「マイナス財産」に分類します。預金や財形貯蓄、保険など「処分したらお金が入って来るもの」がプラス財産、住宅や自動車のローンなど、「清算したらお金が出ていくもの」がマイナス財産です。そして、プラス財産からマイナス財産を差し引いた金額が、あなたの家庭の純財産です。

次に、収入と支出のバランスを見ていきましょう。もう1冊ノートを作って、1か月間の支出を記録します。お金を使ったら必ずレシートをもらって、食費や交通費など項目ごとに金額を記入していきます。面倒で続けられないと思ったら、せめて1週間。それを4倍すれば、1か月の支出額が大体把握できるでしょう。
最後に、会社員なら給与明細を見て、月給にボーナスを加えた年間の収入を同じノートに記入します。1か月の支出×12をした額と見比べると、あなたの家庭の年間のキャッシュフローがわかります。

これで、あなたの家庭に「どれだけ財産があるか」「キャッシュフローがどうなっているか」が見えました。人間ドッグに入って、健康状態の診断結果が出たようなものです。いかがでしたか? 身の丈に合わない支出で大赤字になっている、黒字は出ているけどごくわずか…。いろんな家庭があると思いますが、まずは把握ができたことで、一歩前進です。

「管理不能支出」をしっかり見直す

健康状態が把握できたら、処置を始めましょう。支出を見て、項目を「管理可能支出」と「管理不能支出」に分けてみましょう。「管理可能支出」とはうっかりすると増え、頑張れは押さえ込むことができる支出で、具体的には食費や洋服、娯楽などに使うお金です。「管理不能支出」は契約によって支払いが強制されている支出で、住宅や自動車のローンや家賃、光熱費など、銀行口座からの自動的に引き落としになっているようなものです。

一般的には、家計管理というと「管理可能支出」の節約を指します。その結果、食費や飲み代、買い物代などをガマンして切り詰めてストレスが溜まってしまう。家計を管理する究極の目的は、「家族の幸せ」です。お金が貯まっても、みんなで食事に行く機会をなくして、家庭から笑顔が消えては元も子もありません。
しかも、管理可能支出の支出全体に占める割合は、それほど大きくはありません。したがって、支出を減らしたいと思ったら、まず契約しているフィットネスジムや有料放送、そして携帯電話のプランなど「管理不能支出」を洗い直してみましょう。もし、どうしても必要でない場合は、いっそのこと止めてしまいましょう。家計が赤字の家庭ほど管理不能支出の負担が大きく、はっきりした効果が出るはずです。

抜本的な手術が終わったら、次は管理可能支出です。ここで大切なのは、食費や買い物を全体的に切り詰めるのではなく、あなたの家庭の収支バランスにあわせてそれぞれ「上限管理」をすることです。「上限管理」とは、毎月使える上限額を決めて管理すること。お給料から「食費に週〇〇円」「洋服に週〇〇円」と予算を決めて封筒に入れ、その中から少しずつ使っていくイメージです。
その際、あまり細かく縛り過ぎず、「今週うまくいかなかったら来週がんばる」という調整をしながらやると、気持ちに余裕が出て長続きしやすいでしょう。

どうですか?「これならできそう」という気持ちになったのではないでしょうか。
家族が楽しく、健やかに暮らしていくために、ぜひ家計黒字化を実践してみてください!

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    林總(はやし あつむ)

    公認会計士、経営コンサルタント
    外資系会計事務所、監査法人を経て開業。現在、経営コンサルティング、執筆活動のかたわら明治大学会計職大学院特任教授として管理会計を教えている。国内外の企業200社余りに対して、ビジネスコンサルティング、ITを活用した管理会計システムの設計導入、ERPシステムの導入、活動基準原価計算システムの設計開発、ITベンダーの選定支援、講演活動等を行っている。5万部を超えるベストセラー『わかる管理会計』のほか、『正しい家計管理』(WAVE出版)『餃子屋と高級フレンチではどちらが儲かるか』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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