3月23日発売の『インベスターZ』12巻には、『会社四季報』をこよなく愛するキャラクター・松井君が登場する。四季報の魅力をしゃべり出したら止まらない、四季報オタクの松井君に財前は珍しく押されっぱなし。今回は『インベスターZ』12巻発売を記念して、松井君が会社四季報の中から「将来性あるニッチ企業」を紹介していくコーナーを10回にわたってお届けする。HP限定の「松井劇場」の始まり、始まり!
松井:
ねえ、「マンホール女子」って知ってる?
財前:
いきなり何の話だよ。松井が女子に興味を持つなんて意外だな。
松井:
女子じゃなくて、僕が興味あるのは「虹技(こうぎ)」だよ!証券コード5603、各種圧延ロール・自動車プレスなど大型鋳物から、マンホールなど小型鋳物まで展開する東証一部上場企業。以前から気になっていた銘柄なんだよ!
財前:
出た、四季報オタク。やっぱりそっちの話か。
松井:
マンホール女子っていうのは、いろんな図柄のマンホールを見て歩いたり、撮影したりする女子のこと。最近急増しているらしいんだよね。特に人気があるのが、全国各地の名所旧跡、特産品、鳥、花、魚とかの図柄が入った「ご当地マンホール」で、これは虹技の得意分野なんだ。ご当地マンホールのデザインを集めた展示会が開催されたり、本が出たりしてブームになっているから、虹技にとってはいい流れじゃないかと思って注目してるんだけど、財前は知らないようだね。
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財前:
マンホールを見るのがブームっていうのは、ちょっと知らないな。虹技って業界トップシェアなの?そんなにすごい会社なわけ?
松井:
マンホールに限っていえば、福岡にある日之出水道という非上場企業がシェア6割でトップ。虹技はシェアでいうと3番手くらいだけど、マンホールの中でも高付加価値なものを手掛けていて金物鋳物の技術力が高いんだ。廃棄物焼却施設とか、環境関連の装置や機器の新分野にも力を入れていて、常に技で勝負しようとしているところがいいよね。
財前:
社名にも「技」って入ってるし。
松井:
そうなんだよ!財前は本当、いいところに気付いてくれるよね。虹技はちょうど100年前の1916年、創業者である堀田正夫氏が神戸鋳鉄所としてスタートした歴史ある会社。1940年に株式会社化し、鋳物の技術を磨いて自動車、建築、環境とどんどん扱う分野を広げてきた。創業77年にあたる1993年に「次代を超えて、鮮やかに輝き続ける多彩な虹のような技術を持つ」って意味を込めて商号を変更し、いまの「虹技」になったんだ。「虹のような技術」ってフレーズもたまらないし、77年目に7色の虹にかけて社名を変えるなんて、なかなかユニークだよね!
財前:
そういうエピソードに、柔軟な社風が表れているな。最新の四季報春号では、どういう評価なの?
松井:
えーっと、業績は「堅調」。自動車用プレス金型鋳物と、大型産業機械用鋳物が稼ぎ頭になっている。ポイントはココ!業績欄の中にある【照準】ってところに、「小型鋳物は都心の電線地中化に伴う鉄蓋需要取り込みに照準」って書いてあるだろ? 僕もココに注目しててね、これはいま、政府が景観の保護と震災時のリスク対策として進めている「電線を地中に埋める」計画と関係しているんだ。地中化工事では虹技が許認可を持っているから、この計画が進めば虹技のマンホールが増える。こういう社会の動きもバッチリ押さえているところが、さすが四季報だよね~。
財前:
うーん、なんだか将来性のある会社な気がしてきた
松井:
でしょ? 財前ならそう言ってくれると思ったよ。さ、虹技の魅力をもっと知るために、街にある虹技のマンホールを探しに行こうか!
財前:
えっ、別にそこまでは……。ちょっと待ってよ、松井~!
これからも毎回、松井君が『会社四季報』を片手に、知られざる日本のニッチ企業を紹介していく。投資の銘柄選びに役立ち、ウンチクにも使える情報をお伝えしていくので、ぜひお楽しみに!
◆『インベスターZ』と『会社四季報』が夢のコラボレーション!
なんと、財前と美雪が『会社四季報』の表紙を飾りました!四季報が始まって以来、初めてのマンガとのコラボです。描き下ろしマンガ「『インベスターZ』財前くんと学ぶ 会社四季報ラクラク活用術」もダウンロードできるので、ぜひ東洋経済のウェブサイトでチェックしてみて。四季報の発行月は、3月、6月、9月、12月。「『インベスターZ』のコミックと同じ」と思って覚えよう!
情報協力:『会社四季報』編集部
関連リンク:東洋経済の株式投資メディア
関連書籍:『会社四季報』2016年2集 春号