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株式投資はポーカーと同じ!?

投資ってどうやったらはじめたらいいの!?

みなさんがよく抱かれる疑問を投資のプロに聞いてきました!

回答者
マネックス証券株式会社 チーフ・ストラテジスト 広木隆

マネックス証券_広木隆02

Q. 投資を始めたい。特別な準備は必要?
A. 「考え続ける」覚悟は必須

投資を始めるのは、実際のところ、思いのほか簡単なもの。たとえばインターネット証券を使えば、それこそ家に居ながらにして取引の準備が整えられる。資金だってお小遣い程度でもかまわない。少額から取引できる商品やしくみは、いくらでも用意されている。

ならばさっそく、投資の世界に飛び込んでいいものかどうか。

広い意味での投資であれば「いま、すぐ」でけっこう。「広い意味」とは、資金をいつでもマーケットに投入できる態勢に整えたうえで、勉強をしたり、あれこれ考えを巡らせること。それは、一刻も早く始めていい。

では、実際に資金を投じることも、始めてしまっていいか。それは否。投資の世界では、あらゆる局面において、タイミングの判断が非情に重要。「思い立ったが吉日」という調子で第一歩を踏み出すのはいけない。

株を買うのはどのタイミングで始めたらいいのか。「考えを尽くして、時期と銘柄、金額の見極めについて、自分なりに納得がいくようになったら」である。投資は、考えることがすべてといっていい。まずはあわてずに、しっかりと投資について考えを巡らし、マーケットを分析し、自分なりの思考や意思決定の方法論を築き上げること。その過程こそが楽しくもあり、貴重な経験でもある。

たとえば数年前、欧州債務危機と呼ばれる事態があった。ユーロ圏のいくつかの国の財政状態が悪く、ユーロが売られていた。その頃、有望な投資先を訊かれると、私はドイツ企業だと答えていた。ドイツもユーロ圏の国なのだから経済が苦境なんじゃないのかと驚かれたが、それは違う。ユーロ安になると、輸出比率が高いドイツの自動車メーカーは、国際競争力が強くなる。つまりは、ドイツ銘柄が「買い」ということ。このように自分の頭で考え、論を進めていく行為自体が面白い。

ドイツもユーロ圏の国なのだから経済が苦境なんじゃないのかと驚かれたが、それは違う。ユーロ安になると、輸出比率が高いドイツの自動車メーカーは、国際競争力が強くなる。つまりは、ドイツ銘柄が「買い」ということ。このように自分の頭で考え、論を進めていく行為自体が面白い。

投資の見返りとして利益が上がるのもうれしいに決まっているが、プロセスを味わうことこそ投資の醍醐味と心得ておいたほうが、いい結果につながりやすい。

Q. 「考える」ためのヒントは、どこにある?
A. 新聞・ネット・ツイッター……ヒントは身近にある!

投資を始めるのは、実際のところ、思いのほか簡単なもの。

「考えろ」といきなり言われても、何を考えればいいのかが分からないかもしれない。投資を通じて根本的に考えたいのは、「株や相場っていったいなんだろう」ということだ。

その答えに近づくためには、マーケットはどう形成されているのか、株価はどう決まるのか、また、日本の経済や世界の情勢はどうなっているのか、知らなければいけない。それらを理解してようやく、自分の投資の方針が決定できる。

なんだか面倒だな、と思うだろうか。その通り。たしかに、投資は今やだれでも気軽にはじめられる。だからといって、投資が簡単なものだということにはならないし、それだけ奥が深くておもしろいものであると言うこともできる。足を踏み入れて、じゅうぶんに楽しめる場が、投資の世界には広がっている。

考えを深めていくうえで、第一歩はどちらに踏み出せばいいか。具体的なやり方を挙げてみよう。

まずは、投資先を決めるにあたって、自分が納得するために必要な要素を書き出してみる。目星をつけた業種や銘柄は何か。株価のこれまでの動向は。これからの推移を予測するのに必要なものは。世界と日本の経済の動きと企業の業績、その関連性は。それらをリストアップする。

続いて、それらの項目について、自分なりに調べる。情報を得る手段は、いまの時代、いくらでもある。新聞にインターネット、また口座を開設した証券会社からも、情報は刻々と送られてくる。ツイッターをはじめとするSNSも、ニュースのヘッドラインを知るのに重宝する。

それらを見ながら、これからの動きはこうなるだろうと自分で予想をつけることができたら、実際に株を購入してもいい。あなたが下した判断と読みが合っているのかどうか、それはわからない。ただ、自ら能動的に考えて動き、状況の見方と結論を導き出せたのならば、結果がどうあれ納得はいくはず。それに、とことん調べて考えを尽くしたほうが、投資に勝つ確率は高まる。

ポイントは「自分で」、「自分なりに」考えるということ。信じて後悔しないのは、自分の理論だけなのだ。

Q. 投資における「自分なりの考え」、どう築けばいい?
A. まず身につけるべきは、「大局観」

調べたり考えたりする際に気をつけるのは、知識の増加を目的としないこと。本やネットですぐに得られる情報や数値は、コンピュータに任せておけばいい。それよりも投資家が養うべきは、「大局観」。ものごとの大きな流れを見極める力だ。

グローバルな政治・経済・社会がどうなっているか全体像を把握する。私たちが生きるこの世界はこれまでどう動いてきて、今はどこにいて、これから先どうなっていくのかも理解し予測する。そうした知能の働かせ方こそ、大局観を身につけるということである。大局観を持っていなければ、自分なりの視点から株価の動向を予測するなどできない。

ただし、自分なりの大局観を持てば連戦連勝の投資家になれるほど単純ではない。経済状況や株式相場が1年後にどうなっているか、正確に見通すことは誰にもできない。投資とはそもそも、不確実な要素がたっぷり含まれたものだと、最初から分かっておきたい。

東大卒のポーカー・プロ・木原直哉氏の著書『運と実力の間』に、こんな話が出てくる。将棋のプロ棋士は、よほどのことがなければ素人に負けない。盤上の駒の動きによって勝負が完結するので、予測もつかぬ不確実要素が入り込まないからだ。そういうタイプのゲームでは、熟練している側が圧倒的な優位に立つ。

いっぽうで、ポーカーのようなカードゲームは事情が異なる。どんな札が手元にくるか、次にめくられる札が何かは、運に任せるしかない。すると、熟達者がかならず勝つわけにはいかなくなる。その道のプロでも、『勝ち越せればいい』という戦略を取らざるを得ない。

株式投資は、どちらかといえばポーカーに近い性質を持っている。不完全な情報、不確実な情勢のなかから、より確度が高いと思われるものを選択していく。どれだけ修練や知識を積み上げたって、予想が外れることはどうしても出てくる。失敗も織り込み済みで続けていくしか方法はない。すべて勝とうなどとはゆめ思わず、なんとか勝ち越す方策を考える。そんな心がまえが、投資をしていくうえでのポイントである。

  • mita_profile

    ひろき・たかし

    マネックス証券
    チーフ・ストラテジスト*
    1963年東京生まれ。
    国内外の金融機関で資産運用などに携わった後、2010年より現職に。
    著書に『9割の負け組から脱出する資産の思考法』(ダイヤモンド社)、『ストラテジストにさよならを』(ゲーテビジネス新書)。
    *経済動向などを分析して投資の具体的戦略を設計する立案者のこと。

文・構成/山内宏泰

出典 インベスターZ 2巻巻末記事より


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