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『インベスターZ』で投資部は、約3000億円の資産を運用している。目標利益は年間240億円。
規模が大きすぎて個人投資家の参考にならない! と言わないでほしい。主人公の財前は、投資部に入った当初は株式投資のことを何も知らない“ど素人”。投資の初心者だったが、先輩たちから知識を得て、どんどん成長していく。『インベスターZ』には、財前が学ぶ「株初心者向けの知識」がたくさん詰め込まれている。抜粋して紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

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株式投資の税金は「儲けたとき」のみ!

スーパーでの買い物のような日常的なトピックではないだけに、いまひとつピンとこないかもしれないが、コメを買えば消費税がかかるように、株式投資にも税金はついて回る。面倒に感じるだろうが、せっかく投資で儲けた利益を目減りさせないためにも、株式投資にかかる税金について多少の知識を持っておいて損はない。
どうしてもややこしい話は避けて通りたい!と思うのであれば、せめて次の一点だけは押さえておこう。

それは、「基本的に株式投資にかかる税金は、儲けが出た時にのみ発生する」ということだ。株式投資も営利活動のひとつだから、「得た」ものに対して税金を払うと覚えておけばいいだろう。

では、儲けが出たときにのみ課せられる税金は、いったい何で構成されているのか。答えは所得税と住民税だ。2016年現在での税率は所得税約15%+住民税約5%で、合計約20%。ただし、税率は変動するので注意が必要だ。「ずっと20%だと思って支払っていたら、知らないうちに増税していた」なんていうことにならないよう、毎年チェックしよう。税金の内訳や税率変更のタイミングなどの詳細情報は東証のウェブサイトでも公開されているので、お気に入り登録しておけば便利だ。

ここまで読んで、「自分はいくら払えばいいのだろうか?」と思っている読者も多いだろう。原則としては、年間の収入と株式投資で得た利益をもとに各自計算しなければならないが、一般的なサラリーマンなら税金の一部を免除される特例があるので、よほど儲けないかぎり法外な税金はかからない。

① 年収2000万円以下のサラリーマン(個人事業主を除く)
② 年間の給与・退職金以外の収入が合計20万円以下

以上の条件を両方満たす場合は、株式投資で得た利益について、所得税を支払う必要がない。投資初心者なら、ほとんどの人がこの条件に当てはまるのではないだろうか。ただし、ここで免除されるのは15%の所得税(国税)のみ。5%の住民税(地方税)は別途申告が必要なので、注意が必要だ。市役所で申告を行えば、翌年の住民税に反映される仕組みになっている。

それでは次に、どのように税金の支払いをすればいいのかについて見ていこう。やや内容が高度になるが、儲けが20万円を超えた場合には必要になる手続きなので、ぜひ頑張ってついてきてほしい。

納税は確定申告が基本!

個人的な営利活動で得た利益にかかる税金を支払う方法といえば、確定申告だ。
株式投資にかかる税金もこの確定申告制度を使って納税することになる。少し難しいが、専門用語の説明をしておこう。まず、1年間の株式投資による損益額を合計したものを「譲渡所得」と呼ぶ。課税の対象となる数字で、これに先ほど説明した約20%を掛けた数字が、支払うべき税金の額だ。

納税額=譲渡所得×約20%(2016年現在)
儲けが21万円だった場合は、21万円×20%で、約4万2000円の納税となる。

ただし、これには例外があり、以下のいずれかに当てはまる人は、確定申告をしなくてもいい。

確定申告をしなくてもいい場合とは?

① 年収2000万円以下のサラリーマンで、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下の人
まずはおさらいのサラリーマン特例。
単純に「譲渡所得が20万円以下」と表記される場合もあるが、これは間違い。会社から支給される給料や退職にともなう収入以外のすべての収入がカウントされるので、注意が必要だ。

② 源泉徴収ありの特定口座のみで株式運用をしている人
これは、証券会社が自動で納税を代行してくれるため。気をつけなければいけないのは、「自分で確定申告をする必要はないが、税金は取られている」という点だ。
「源泉徴収ありの特定口座」で株式投資をした場合、1年の「給与所得と退職所得以外の所得」が20万円以下であっても、自動的に納税されてしまう。利益が少ないのに余計な税金(所得税)を払うのはもったいない。手間は省けても収入が減る、という事態を避けたい場合は、「源泉徴収なしの特定口座」で運用し、あえて確定申告を行うオプションも頭に入れておくべきだろう。

③ NISA口座のみで株式運用をしている人
2014年から開始した「NISA(少額投資非課税制度)」を活用すれば、毎年120万円までの投資にともなう値上がり益や配当金への課税がゼロになる。ただし、非課税の期間は最大5年間なので注意しよう。また、NISAの制度自体も2023年には終了の予定。株式投資にかかるコストを少しでも減らしたいなら、制度終了前にスタートするのも賢い選択だ。

「頭がごちゃごちゃになってきた!」「確定申告のことなんて当分考えたくない!」と思っただろうか?ごもっとも。確定申告は確かにややこしい制度だ。しかし、使いようによっては株式投資をする上で非常に頼もしい味方にもなってくれる。

損した年は必ず確定申告を!

利益が出ているときは面倒な確定申告だが、損をした年には節税の手段として使うことが可能だ。
損が出た年に確定申告をすることによる節税の仕組みは、大きく分けてふたつ。「損益通算」と「損失の繰越控除」だ。

① 損益通算
確定申告をすることで使えるようになるテクニックのひとつ目が「損益通算」。株式投資による利益と損を相殺することをいう。損益通算の計算式は、「譲渡損(株式売買による損)+譲渡益(株式売買による利益)」あるいは「譲渡損(株式売買よる損)+配当金」。

たとえば、A社口座で50万円の損・B社口座で50万円の利益が出た場合、相殺してプラスマイナスゼロになるので、確定申告すれば税金はかからないということだ。

あるいは、配当金を100万円受け取り、株式売買で90万円の損を出した場合には、両者を相殺して10万円の利益。配当金は支払われた段階で既に源泉徴収が済んでいる。通常なら、100万円の配当金にかかる税金は約20万円。ここから損益通算することで、課税対象が10万円になり、かかる税金は約2万円にまで減る。確定申告すれば、源泉徴収された税金のうち、約18万円が返ってくる計算だ。
なお、損益通算の適用は確定申告を前提としているため、自分で勝手に前述の「20万円ルール」を適用することはできない点に注意が必要だ。

② 損失の繰越控除

1年の損と利益を相殺してもまだ損失分が残る場合もあるだろう。こういった場合のために、損失を3年間繰り越せる制度が「繰越控除」だ。繰越控除を使えば、翌年出た利益と繰り越した損を控除することができ、利益にかかる税金が少なくなる。ただし、3年を超えて繰り越すことはできない。また、毎年かならず確定申告をすることが条件になるので、忘れないように注意が必要だ。

せっかく稼いだ利益を余計な納税で減らしてしまってはもったいない。自分に当てはまる節税方法を知ることも、株式投資の一環だ。

株式投資にかかる税金の説明はこれで終わり。
税金の話は複雑なので、簡単には覚えられなくて当たり前。しかし、1円を笑うものは1円に泣く。遠足(株式投資)はお家に帰るまで(納税を済ませるまで)が遠足だ。税金の計算をすることは、1年間の戦果を振り返るいい機会にもなるだろう。最初こそ戸惑うだろうが、いったん慣れてしまえば毎年システマティックに処理するだけ。ぜひ今回紹介した基本を踏まえ、確定申告にチャレンジしてみてほしい。

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