『インベスターZ』で投資部は、約3000億円の資産を運用している。目標利益は年間240億円。 規模が大きすぎて個人投資家の参考にならない! と言わないでほしい。主人公の財前は、投資部に入った当初は株式投資のことを何も知らない“ど素人”。投資の初心者だったが、先輩たちから知識を得て、どんどん成長していく。『インベスターZ』には、財前が学ぶ「株初心者向けの知識」がたくさん詰め込まれている。抜粋して紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
残業続きで疲れ果てたある日、家に着いたら大量のズワイガニが届いていた。注文した覚えも、地方に住む親戚もいないのになぜ?送り主を見ると、そこには今年株を買い始めた会社の名前が。これが世に言う「株主優待」か!ラッキー!
投資家生活には厳しい場面も多いが、時にはこんなサプライズも夢ではない。株式投資から得られる利益として、「値上がり益」「配当金」と並んで挙げられるのが「株主優待」。株式投資を考えたことのある人なら、一度は耳にしたことがあるのではないだろうか?今回は、「株主優待」の基本と仕組みをみていこう。
株主優待とは?
株主優待は、企業が株主に対して贈るプレゼントのようなもの、と考えれば良い。企業にとっては、株式を買ってくれたお客様への感謝の気持ちを表すための手段であり、魅力的な株主優待を提供することで、長期にわたって株式を保有してもらうという狙いもある。「応援してくれてありがとう、これからもよろしくね」といったところだ。
内容としては自社商品やサービス、金券などが一般的だ。例えば、東京ディズニーランドなどを経営する(株)オリエンタルランドは関連アミューズメントパークの年間パスポートを配布しているし、キューピー(株)はマヨネーズやジャム、ドレッシングなどの自社製品を提供している。
また、企業の中には「老人ホームの入居料金割引」や「傷害保険プレゼント」など、一風変わった株主優待を提供する会社もある。各社がどのような株主優待を実施しているかは、「Yahoo!ファイナンス」の株主優待ページや各証券会社のページでも検索できる。
すべての企業が株主優待を実施しているわけではない
企業からの自発的なプレゼントという性質上、全ての上場企業が株主優待を実施しているわけではない。また、海外の企業は物を贈ることよりも株価の上昇による利益還元を重視するため、株主優待を実施することは少ない。一部の国内企業が採用している特典だととらえておくといいだろう。
余談だが、株主優待の歴史については、1899年に東武鉄道が行った株主優待が始まりと言われている。高度経済成長期に入ると、個人投資家を引きつける目的で株主優待制度を取り入れる企業が増え、2014年末の段階では約1170社が同制度を実施している。
受け取りには、権利確定日に株主であることが条件
それでは、株主優待を受け取るためにはどうしたらよいのだろうか。まずは、当然のことだが、優待を受けたい企業の株式を購入すること。その後、権利確定日まで株式を保有していることが必要だ。権利確定日についての詳しい説明は、第11回「配当金」の記事を参照してほしい。権利確定日まで株式を持っていれば、あとは企業から特典が送られてくるのを待つだけだ。
優待内容は、各企業や保有する株式の数によって異なる。おもちゃメーカーのタカラトミーを例にとってみよう。100株以上1000株未満保有の株主には「トミカ」2台セットが贈られる。保有株数が2000株以上になると、「トミカ」4台セットに加え、真っ赤な着物姿が眩しい「節目の年を華やかに祝う振袖リカちゃん」が貰えてしまうのだ。ニッチではあるが、マニアにはたまらない特典ではないだろうか。優待内容の概要は前述の「Yahoo!ファイナンス」や証券会社のウェブサイトでチェックすることができるので、要確認だ。
優待内容と同時に、株価の推移や長期的な経営状態を必ずチェック
株主優待を目当てに株式を購入するときには、「配当金」の場合と同様、その会社の経営状態が健全かどうかを調べる必要がある。もらえる商品やサービスの価値よりも売買損の方が大きくなってしまった、という事態を避けるためだ。
もちろん、「多少損をしてでも、この会社を応援したい」という気持ちがあるなら話は別。自分の目的に合わせて、納得した上で投資を決めるようにしたい。企業の中には、株主限定のライブイベントを開催したり、株主総会で経営者と直接会話ができる機会を設けたりするところもある。「推し」のアイドルのCDを買うのもいいが、株主になって会社ごと支えてあげる、というのもなかなかのロマンではないだろうか。単なる消費者とは違う体験をすることができるのも、投資家ならではの面白さだ。
今回は「株主優待」の仕組みを説明した。次回は企業研究の仕方についてみていこう。 =======================
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