『インベスターZ』で投資部は、約3000億円の資産を運用している。目標利益は年間240億円。
規模が大きすぎて個人投資家の参考にならない! と言わないでほしい。
主人公の財前は、投資部に入った当初は株式投資のことを何も知らない“ど素人”。投資の初心者だったが、先輩たちから知識を得て、どんどん成長していく。
『インベスターZ』には、財前が学ぶ「株初心者向けの知識」がたくさん詰め込まれている。
抜粋して紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
そもそも、株って何?
どんな会社であっても、事業を行うときには元手となる「資金」がかかる。
ものづくりの会社であれば、工場を建てて設備を入れて、製品を作って売る。
その工場や設備を作るための資金を調達する方法として、2つがある。
1.銀行からお金を借りる
2.株式を発行してみんなに買ってもらう
株式会社はふつう、1と2を組み合わせて資金を調達し、事業を行っている。
1のように銀行からお金を借りる場合は、土地などの「担保」を用意しなければいけない。また、借りた額に応じた利息も払わないといけない。
株式の場合は、「その企業の株を買いたい」という人(出資者)を募ることさえできれば、担保や利息の必要なく、さまざまな投資家から広くお金を集めることができる。
株式の売り買いの場所が、「株式市場」である。
ケーキ屋がショートケーキやシュークリームなどの商品を店で売っているように、株式市場には何千もの株式が店頭に並べられている。
ただ、ふつうの店と違って、売買を行うのにも、その店頭に並べてもらうのにも、許可が必要だ。
売買を行う代表が、東京証券取引所(東証)。そのほか名古屋、福岡、札幌の取引所、新興企業向けのジャスダックなどがあり、それぞれの取引所が企業を審査して、その株式を店頭に並べるのにふさわしい実力があるのかを決めている。
証券取引所の中でも、「東証一部」というのは、審査の厳しい超難関。
東京の有名パティシエのケーキ屋のようなもので、東証一部上場に認定されると、一気にその会社のブランド・信用力が高まる。
投資の目的やスタンスを決める
初心者は、株式投資を始める前に、目的をはっきりさせておこう。
「ハイリスク・ハイリターンでもいいから短期でお金を稼ぎたい」。
「好きな企業の株式を長く保有して、こつこつ稼ぎたい」。
もしかしたら、お金だけでなく「株式を運用することで、経済・社会について勉強したい」。
という動機もあるかもしれない。
目的を決めたら、自分の投資スタイルを考えよう。
一口に「株式投資」と言っても、さまざまな方法がある。
大きくわけると、株を中長期で保有する「中長期の投資」と、数分~数週間といった短期売買を繰り返す「トレード」があり、投資スタンスが大きく異なる(これについては、後の記事で詳しく述べる)。
そのどちらにするかを決めたうえで、投資額をいくらにするか、投資する企業の数をどうするか(多くの企業に分散するか、少ない企業を集中して買うか)など、目的に合った買い方のスタイルを選んでいくのだ。
株式初心者にとって大切なのは、細かい用語を覚える前に、ざっくりと概要をつかんで目的と自分なりのスタンスやルールを決めておくこと。
目的やスタンスがはっきりとしないまま、漠然と株式投資を始めてしまうと、儲かっているときに「まだまだ」と欲を出したり、少し値下がりしただけで恐怖感からパニックになったりして、冷静な判断ができなくなってしまう。
『インベスターZ』のクールな主人公・財前ですら、最初に投資した株が急降下し始めたとき、一瞬パニックに陥った。
お金がからむと、人は弱いものだ。
だからこそ、目的とスタイルをきっちりと定めて、感情に流されそうになったときに頼れる「型」を用意しておくのだ。