さかのぼる事、1933年。前年に満州国樹立を宣言した日本と中国大陸を狙う欧米列強の対立は激化の一途を辿っていた。
世界が不穏な空気に包まれていく中、日本の運命を左右することになる重大な会議──新型戦艦建造計画会議──がいま海軍省の会議室で始まろうとしていた。
それは次世代の海の戦いを見据える“航空主兵主義”派と日本海軍の伝統を尊重する“大艦巨砲主義”派の権力闘争の始まりでもあった‥‥。