株式投資の入門⑯「企業の実力」の調べ方(後編)

『インベスターZ』で投資部は、約3000億円の資産を運用している。目標利益は年間240億円。
規模が大きすぎて個人投資家の参考にならない! と言わないでほしい。
主人公の財前は、投資部に入った当初は株式投資のことを何も知らない“ど素人”。投資の初心者だったが、先輩たちから知識を得て、どんどん成長していく。
『インベスターZ』には、財前が学ぶ「株初心者向けの知識」がたくさん詰め込まれている。 抜粋して紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

%e3%82%b3%e3%83%9e1%e3%82%b3%e3%83%9e2
%e3%82%b3%e3%83%9e3
%e3%82%b3%e3%83%9e5


「キャッシュフロー計算書」は家計簿みたいなもの

企業研究で参考にするべき「財務諸表」について、3回にわたって勉強してきた。気になる会社があるなら、IR資料の「決算短信」を開く。そのうえで、財産状況を知りたいなら「貸借対照表」(前編)を、どれだけ稼いでいるかを知りたいのなら「損益計算書」(中編)を見るというのは、これまで解説した通り。

今回は、さらにもう1つの指標である「キャッシュフロー計算書」に注目する。その名の通り、「お金(キャッシュ)」の「流れ(フロー)」を表すもので、一定の期間内に会社を出入りしたお金がどれくらいあったのかが一目でわかる書類だ。家庭で収入と支出を管理するために使う「家計簿」の会社バージョンといえば、わかりやすいだろう。

まずは、一般的なキャッシュフロー計算書の形式を見て覚えよう。

cf3

※青色は解説用につけたもので、一般的には色はついていない
最後の行にある「現金同等物」とは、定期預金など、かんたんに現金に換えることができるものを指す。キャッシュフロー計算書は、現金および現金同等物が前期末から当期末までの1年間でどれくらい増減したかを示している。

それぞれの「お金の流れ」をどう見るか

上記のキャッシュフロー計算書は、最後の行以外に3つ、青く塗られた箇所がある。それぞれの区分について説明しよう。

・営業キャッシュフロー(仕入れや販売など、本業によるキャッシュの流れ)
・投資キャッシュフロー(固定資産の売買など、投資によるキャッシュの流れ)
・財務キャッシュフロー(借入や返済、配当金支払いなど、財務活動によるキャッシュの流れ)

3つのキャッシュフローのうち、本業でのお金の収支を見る「営業キャッシュフロー」が最も重要だ。ここが赤字だと、1年間の事業活動を通して会社からキャッシュが減っているということになる。必要な資金を銀行などの借入金に頼っていることになり、資金繰りが心配だ。大事な指標なので、1年分だけでなく数年分をさかのぼって、黒字になっているか、赤字であっても大きな額でないかを確認しよう。

「投資キャッシュフロー」は、投資に使ったお金の収支(土地や工場、研究施設などの取得や売却の額)を表す。事業を拡大している成長企業は、赤字になる場合が多いので、マイナスだからといって気にすることはない。ただし、赤字額が大きすぎないか(過大投資でないか)は注意が必要。逆に、黒字だからと言って安心してはいけない。お金を貯め込むばかりで、未来への投資にお金を使っていないのは、それはそれで問題である。

「財務キャッシュフロー」は、銀行などへの借入金や株式発行、社債発行による資金調達または支払いの収支を示す。ちょっとわかりづらいが、プラスになっていたら「借入金、株式発行、社債発行などによる資金調達を行った」ということで、マイナスになっていたら「それらを返済、支払い、償還した」ということ。これもプラスならいいというわけではなく、むしろ大幅な資金調達をしている場合は、なぜそんな額が必要になったのかを調べる必要がある。

「自由に使えるお金」がいくらあるかが大切

まとめると、キャッシュフロー計算書の中で「財務キャッシュフロー」は、プラスが望ましい。「投資キャッシュフロー」と「財務キャッシュフロー」はプラス・マイナスどちらかがいいわけではなく、事業拡大のプロセスと、お金の流れが合致していることが重要だ。

さらに、会社が自由に使えるお金がどれくらいあるのかをつかむ指標として、「フリーキャッシュフロー」を見ておこう。計算は簡単で、「営業キャッシュフロー」と「投資キャッシュフロー」を足すだけ。この額がプラスになることが望ましく、マイナスであれば手元にお金がなく、フリーキャッシュフローのマイナスが何期も続くようだと会社存続が危険になると言われている。

将来に向けた大投資を行っている場合は、投資キャッシュフローにつられてフリーキャッシュフローがマイナスになることもあるので、一概にはマイナスがNGとは言えない。しかし、自由に使えるお金があまりに少ないと、突然の外部環境の変化に対応できないなど、リスクが大きい。この指標は、注意するに越したことはない。

財務諸表についての講義は、これで最終回だ。最初は時間がかかるが、3つの指標の意味を頭に入れ、実際の企業の財務諸表を繰り返し見ていけば、数字を通して「企業の実力」を読み取ることができるようになる。投資はもちろん、あなた自身の仕事にもプラスとなること、間違いなし。まずは、自分や家族、友人が働く会社の財務諸表から、チェックしてみてはどうだろうか?

財務諸表をもっと学びたい人へ。
スタンダートに学べる3冊を紹介するので、ぜひ読んでみよう!





◇関連記事◇
―株式投資の入門①・初心者がまず知っておくこと
―株式投資の入門②・株式市場とは?
―株式投資の入門③・「投資」と「トレード(投機)」の違い
―株式投資の入門④・株式投資の始め方
―株式投資の入門⑤・株の買い方
―株式投資の入門⑥・株の売り方
―株式投資の入門⑦・ネット証券の選び方
―株式投資の入門⑧・「投資信託」のメリット・デメリット
―株式投資の入門⑨・株式投資にかかる税金
―株式投資の入門⑩・株式投資の用語集
―株式投資の入門⑪・配当金
―株式投資の入門⑫・株主優待
―株式投資の入門⑬・企業研究
―株式投資の入門⑭・「企業の実力」の調べ方(前編)
―株式投資の入門⑮・「企業の実力」の調べ方(中編)


◇インベスターZ(全巻セット)は、なんと三田紀房直筆サイン入り!!コチラからご購入頂けます☆

mita


この記事をSNSでシェア