株式投資の入門⑮「企業の実力」の調べ方(中編)

『インベスターZ』で投資部は、約3000億円の資産を運用している。目標利益は年間240億円。 規模が大きすぎて個人投資家の参考にならない! と言わないでほしい。 主人公の財前は、投資部に入った当初は株式投資のことを何も知らない“ど素人”。投資の初心者だったが、先輩たちから知識を得て、どんどん成長していく。 『インベスターZ』には、財前が学ぶ「株初心者向けの知識」がたくさん詰め込まれている。 抜粋して紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%ac%ef%bc%91%ef%bc%88%ef%bc%91%ef%bc%89%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%ac%ef%bc%91%ef%bc%88%ef%bc%92%ef%bc%89

「損益計算書」は会社の成績表

株式投資は、「なんとなくいいな」という感情に流されてはいけない。冒頭のマンガにあるように、結婚相手を決めるのに「なんとなく」では決めないだろう。人間性だけでなく収入や家柄など、しっかりリサーチしてから踏み切るものだ。
株も同じで、決算情報などから会社の実力を知り、参考にする「企業研究」が大事。その際によく使う「財務諸表」の主な3つのうち、「貸借対照表」については、前回解説した通りだ。

続いて今回は、「損益計算書」について説明していこう。
「損益計算書」は、期間ごとの会社の収支を表す、その時点での「会社の成績表」といえる。まずは、どんな項目があるのか、損益計算書の形を見て覚えよう。

screenshot_2016_12_19

※青色は解説用につけたもので、一般的には色はついていない

会社は、収入から原材料費や人件費などさまざまな支払いを引いて、最後に残ったお金を利益として得る。収入も支払いも毎日のようになされているわけだが、決算期に帳簿をいったん〆て、その時点でのお金の収支を「見える化」するのが、損益計算書の役割だ。
そこには、「モノ・サービスを売って入ってきたお金」から「経費など出ていくお金」を引いていき、最後に「純利益」が残るまでのお金の流れが示されている。

「営業利益」は本業で稼いだ利益

損益計算書で、いちばん上に来るのが、「売上高」。会社の規模を表すときによく「年商〇億円」という言い方をするが、それは売上高のことだ。もちろん、売上高が大きいのはいいことだが、その売り上げをつくるためにかかっている経費のことを忘れてはいけない。

パン屋の例で考えてみよう。
100円のパンを作るのに、1個当たりの原料費や人件費が50円の会社Aと、70円の会社Bがあったとする。会社Aが300個のパンを売ったら、売上高は30,000円。50円×300個の経費を引いて得られる利益は15,000円となる。
一方、会社Bが350個パンを売ったら、売上高は35,000円。70円×350円の経費を引いて得られる利益は10,500円となる。

一見、売上数も売上高もBのほうが大きいが、会社に残る利益はAのほうが大きい。このように、「売上高が大きいからBのほうがいい会社」とはいえない。事業活動には原料費や人件費だけでなく、さまざまな費用がかかっている。売上高が多く、経費が少ない会社こそが、「いい会社」なのである。
以下、売上高から引かれる費用の種類を見ていこう。

図を見てほしい。売上高から原価(仕入れ原価、製造原価など)を引いたものが、「売上総利益」。いわゆる「粗利」である。会社の基礎となるもっともシンプルな利益のことだ。
そこから「販売費」(販売するためにかかる経費。営業担当者の給料や交通費、広告宣伝費、販売促進費など)と、「一般管理費」(会社を運営するためにかかる経費。役員報酬や管理部門の社員の給料、事務所の家賃や水道光熱費、通信費など)を引いたものが、「営業利益」である。
本業で稼いだ利益は、ここを見ればわかる。

「経常利益」は会社全体で得た利益

営業利益に「営業外収益」を加え、「営業外費用」を引いたものが、「経常利益」になる。 「営業外」というのは、「本業以外の活動」を指す。営業外収益であれば、企業が投資した証券、不動産(財テク)などの副業で得たお金のこと。営業外費用であれば、借入金の利息や財テクにおける損失などのこと。 つまり、経常利益は、本業を含む全事業で得た利益のこと。会社全体でどれくらい利益が上がっているのかを示す数字だ。「営業利益は赤字だが、経常利益が黒字」という場合は、副業がうまくいっているということだろう。ただし、副業ばかりが良くて本業がおろそかになっている会社は、注意が必要。そういう会社の一面も、ここから読み取れる。

最後に、経常利益から「特別損失」「特別利益」(不動産売却や災害などで一時的に発生した損失、または利益)や「税金」の支払い額を引いて残るのが、「純利益」。
これこそが、企業が最終的に手にできる利益にほかならない。

%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%ac%ef%bc%92%ef%bc%88%ef%bc%91%ef%bc%89%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%ac%ef%bc%92%ef%bc%88%ef%bc%92%ef%bc%89%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%ac%ef%bc%92%ef%bc%88%ef%bc%93%ef%bc%89

一口に利益と言っても、いろいろある。「営業利益」「経常利益」「純利益」それぞれの意味を覚えて、ぜひ気になる企業の損益計算書を見てみよう。
もちろん、最後に大事なのは純利益が黒字であること。しかし、損益計算書を見ることで、「営業利益は黒字。本業はがんばっているけど、今年は工場が台風の被害にあって特別損失を出して、最終的に赤字になってしまった。台風がなければ、純利益も黒字だったな」というように、会社が利益を得るプロセスがつぶさにわかる。損益計算書の意味がわかれば、企業研究が楽しくなるはずだ。

次回は、残りの書類「キャッシュフロー計算書」について、解説をしていく!

◇関連記事◇
―株式投資の入門①・初心者がまず知っておくこと
―株式投資の入門②・株式市場とは?
―株式投資の入門③・「投資」と「トレード(投機)」の違い
―株式投資の入門④・株式投資の始め方
―株式投資の入門⑤・株の買い方
―株式投資の入門⑥・株の売り方
―株式投資の入門⑦・ネット証券の選び方
―株式投資の入門⑧・「投資信託」のメリット・デメリット
―株式投資の入門⑨・株式投資にかかる税金
―株式投資の入門⑩・株式投資の用語集
―株式投資の入門⑪・配当金
―株式投資の入門⑫・株主優待
―株式投資の入門⑬・企業研究
―株式投資の入門⑭・「企業の実力」の調べ方(前編)


◇インベスターZ(全巻セット)は、なんと三田紀房直筆サイン入り!!コチラからご購入頂けます☆

mita


この記事をSNSでシェア