「投資のパワー」を使ってリターンを得ながら社会貢献を!

世の中には、さまざまな投資の種類がある。『インベスターZ』では株式投資を中心に取り上げているが、財前と慎司が勝負の初戦に使ったFX投資や、現在まさに『週刊モーニング』誌上で勝負を繰り広げている不動産投資など、あらゆるものが投資の対象になる。では、街中に建つ商業ビルや大規模賃貸マンションの運営にも、投資の仕組みが使われているというのは知っているだろうか?これを知れば、投資に対する見方が変わるはずだ。

大和リアル・エステート・アセット・マネジメント
株式会社 代表取締役社長 山内 章氏

☆写真1(プロフィール)


渋谷の交差点に建つ
ビルの大家は何人?

☆写真2(Qフロント)

Photo credit:wallyg via Visual Hunt / CC BY-NC-ND

若者でにぎわう東京・渋谷のスクランブル交差点。その一角に「Qフロント」という商業施設があります。東京在住の方なら、「TSUTAYAやスターバックスが入っているビル」というとわかるでしょう。大都会を象徴するようなビルですが、「あのビルの大家は誰か」を考えたことはありますか?以下の3択から答えを当ててみてください。

1. 建設を担当した東急電鉄
2. TSUTAYAやスターバックスなど入居しているテナント
3. ビルの運営資金を出している投資家

答えは3です。
「Qフロント」には運営資金を出している投資家=大家が、何万人もいるのです。驚きましたか? なぜそんなことが可能かと言うと、「リート」の仕組みを使っているからです。

リートとは、「REIT=Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」の略称で、投資家から不動産の運用資金を集め、実際に得た賃料収入や売却益を投資家に分配する金融商品のことです。
米国で1960年代に始まり、1990年代に入って急速に拡大。日本では2001年に市場が創設されました。
(日本では米国のリートと少し仕組みが異なるため、「Jリート」と呼ばれています)

「Qフロント」のような商業施設のほか、賃貸住宅やオフィスビル、ホテル、物流倉庫など多くの不動産が、リートの仕組みを使って運用されています。海外では1980年代からリートの仕組みを使ってハイアットやマリオット、ヒルトンといった高級ホテルが世界中に進出しました。国内では星野リゾートがリートの仕組みを使って宿泊施設を運用しています。身近なところでは、地域にあるイオンモールやイトーヨーカドーの大型店舗、ケーズデンキといった家電量販店の一部もリートで成り立っています。いわば「大家の権利」を細かく分けて証券化し、株式市場を通じて大勢の投資家からお金を集めることで、規模の大きい不動産の運用資金を調達しやすくしているわけですね。

☆写真3(星野リゾート)

Photo credit:Hase don via Visual Hunt /CC BY-NC-SA

リートの投資口1口あたりの金額は、おおよそ数万円~数十万円。これくらいの資金で、たとえば100億円の資産価値があるビルのオーナーの1人になれるのですから、夢のある話だと思いませんか。



超高齢化社会を
リートの仕組みで乗り切る

当社はリートの運用会社として、オフィスビルと賃貸住宅、そしてヘルスケア施設の商品を扱っています。中でも、高齢者向け住宅などを扱う「日本ヘルスケア投資法人」は、投資の仕組みを使って社会貢献もできる新しいタイプの商品として、われわれが特に力を入れています。

これから日本は超高齢化社会を迎えます。2015年4月1日時点で、高齢者人口(65歳以上の人口)は約3,300万人、高齢化率(総人口のうち高齢者人口が占める割合)は26.4%。既に4人に1人が高齢者という状態です。このままいくと、44年後の2060年には高齢化率が39.9%にまで到達すると予測されており、数字を見るとあらためて大変な状況であることがわかります。

それなのに、いわゆる有料老人ホームなどの高齢者向け住宅は、まったく数が足りていません。国土交通省の試算値では、2013年時点での充足率(全ての高齢者に対する、高齢者向け住宅の充足率)はなんと2.04%。国が掲げる目標の3~5%に上げていくには、約43万人~115万人分もの施設が必要になるというのです。もちろん高齢者向け住宅を経営する事業者の方たちも、ニーズに応えようとしていないわけではありません。しかし、この業界は規模の小さい企業が多く、また施設を運用していく手間もかかるので、入居者からの月額利用賃料などで利益を上げるのに精いっぱいになりがちです。利益を再投資してどんどん施設の数を増やすということが、これまでは行われにくい状況でした。

そこで、投資の仕組みが役に立つのです。まず事業者の方々は、現状保有しているヘルスケア施設を一旦リートに売却し、リートから施設を借りる形式を取ります。事業者は、従来どおり高齢者のお世話や屋内の設備管理を行いながら、入居者から得た月額利用料の一部を当社に賃貸料として支払い、当社を通じて分配金となって投資家に還元されます。また事業者は施設の売却資金を使って、新たなヘルスケア施設の建設に使うお金を調達することが出来ます。さらに事業者が新しい施設を作りたいときには、リートへの施設売却を通じて資金を集める――。このように、リートを施設の売却先の受け皿として使えば事業者が資金繰りに苦労することなく、ヘルスケア施設を短期間で増やすことができるのです。施設を増やすことで、事業者が蓄積してきたノウハウを社会に広め、有効に活用し、不足している高齢者向け住宅に対し、供給の一翼を担うこともできるでしょう。

高齢者向け住宅やヘルスケア施設の不足は、日本が抱える危機的課題です。それを解決するために、業界に「お金」という血液を流し込み、元気にしようというのが「日本ヘルスケア投資法人」というリートです。そして投資家にとっては、慈善事業ではなく、利益を得ながら日本の将来の課題解決に貢献して「心もお財布も豊かになる」投資ができる。何ともいい話ではないですか。

ヘルスケアリートは米国では既に20年の歴史を持っています。最初は投資先も有料老人ホームだけでしたが、参加する投資家が増えて資金が集まるようになり、さまざまな施設が作られるようになりました。例えば、米国には日本よりも大規模な医療モールがあり、1か所に常駐する多数の医師の中から、高齢者が自分で選んだサービスを受けられます。また、最近は「CCRC(Continuing Care Retirement Community)」という、住居と医療・介護が一体化した「高齢者が人生の最期を迎える」施設が人気となっています。フィットネスクラブなどの予防医学もリートの投資対象になっていて、国民全体のヘルスケアに貢献しています。

米国がたどった過程と同じように、日本でもこれからヘルスケアリートの仕組みが普及していくでしょう。いや、そうならないと超高齢化社会を乗り切れない。だからこそヘルスケアリートを広めるんだという、強い使命感をわれわれは持っています。2014年11月に日本初のヘルスケア施設特化型リートとして最も早く東証(東京証券取引所)のリート市場に上場を果たしたのも、業界をリードしていくという意気込みからです。

投資の仕組みはさまざまなことに使えます。例えば、かつて東京五輪のために作った国内のインフラは老朽化が激しく、その建て替えには膨大な費用がかかります。その建て替えに必要な資金を集めるといったことにも、投資の仕組みを活用できます。このような国家レベルの問題だけではありません。あなたが身近なところで人助けをしたいと思ってボランティアをしたり寄付をしていく際にも無償で持続性を持ちながらやり続けるのは大変です。しかし、投資であれば必要な人や団体に資金を渡して、リターンを得ながら長期的に目的を達成していくことも可能です。お金を出す側と受け取る側がお互いにWin-Winの関係で、目的達成のために動けるのが投資の仕組みのいいところなのです。

投資というのは、投資家がただお金をもうけるだけではない。社会全体のためになる行為であって、投資の仕組みを活用できる場面はまだまだたくさんあるはずです。そのうちの1つとして、われわれはヘルスケアリートの可能性に挑戦していきます。

  • ☆写真1(プロフィール)
    山内 章氏

    大和リアル・エステート・アセット・マネジメント株式会社
    代表取締役社長
    1986年 丸紅(株)入社。同社在籍時に国内外の不動産開発(法定再開発、住宅、工業団地等)、開発した不動産の運用に従事。 2003年より国内初の住宅特化リートである 日本レジデンシャル投資法人(現アドバンス・レジデンス投資法人)の運用会社 代表取締役に就任し、2004年に同投資法人を上場。2010年 より現職。オフィスリート(大和証券オフィス投資法人)、ヘルスケアリート(日本ヘルスケア投資法人)、私募の賃貸住宅リート(大和証券レジデンシャル・プライベート投資法人)および不動産ファンドの運用に従事。 2016年3月末時点で、Jリート、私募リート、私募ファンドを合わせ、128物件・約5,800億円の不動産を運用

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