なぜ三田紀房は週刊連載2本を徹夜しないで続けられるのか?【前半まとめ 三田流マンガ論】

今回は、好評を得ている「三田流マンガ論」連載4回分をまとめ読み。ユニークな発想で読者に驚きを与え続ける三田紀房の持論を、ぜひお読みください。著書プレゼント付きです!

連載4回目にして、三田紀房の「マンガ論」は身もふたもない。
冒頭から、「マンガをヒットさせるには、あえて競合のいない空席を探せ!」というマーケティング論を展開し、流行を追うことを否定する。

たいていの人は目の前のブームに乗ることが「安全」だと考えるし、そのほうが楽しいだろう。
例えば社内で新しい企画をプレゼンするとき、「A社が似たような企画で成功しています」といえば、通りやすい。

しかし三田紀房は、あえて大勢と異なる方法論を展開する。
「ブームに乗るのは、実はリスクでしかない。流行はあっという間にピークを迎えて飽きられ、商品寿命も短命に終わってしまう」(Vol.1「すべてのマンガは個人商店だ!」)

ベストセラーとなった『ドラゴン桜』は「受験×スポ根」という今までにないジャンル=空席を狙った

ベストセラーとなった『ドラゴン桜』は「受験×スポ根」という今までにないジャンル=空席を狙った

さらに、多くのマンガ家が「ダサいから」といって避ける「ベタな表現」についても、恐れずに積極的に取り入れている。

「きれいな絵でスタイリッシュであっても、弱いマンガは読者の目に留まらず、すぐに忘れられてしまう。読者に強烈な印象を与えられるかどうかがマンガの勝負どころであって、そのためにベタな表現は大いに有効だ」(Vol.3「ベタな表現を恐れるな!」)

『ミナミの帝王』のベタで強い表現を取り入れ、雑誌の人気トップに選ばれた初期の作品『クロカン』

『ミナミの帝王』のベタで強い表現を取り入れ、雑誌の人気トップに選ばれた初期の作品『クロカン』

プライドが邪魔して、ベタな表現を避けるマンガ家は多い。もしくは取り入れても、躊躇しながら使ってさらにダサくなる。

このように、多くの人が持つ余計なプライドゆえの「中途半端さ」を、三田紀房は身もふたもなく否定する。根底には、「1人の人間が持つ能力なんてたかが知れている」という考え方がある。

「『個性をみつけて伸ばせ』と言っても、1人の人間が持つ能力なんてたかが知れている。まずは型通りにやってみる。それも、とことんやる。そうすれば個性は後からついてくる」(Vol.3「ベタな表現を恐れるな!」)

『インベスターZ』の中でも、美雪がバフェットら偉大な投資家の例を挙げ、先人から学ぶことの必要さを説く場面がある

『インベスターZ』の中でも、美雪がバフェットら偉大な投資家の例を挙げ、先人から学ぶことの必要さを説く場面がある

「いいものはどんどんパクれ!」という考え方も同じだ。ふつうならびっくりする表現だが、三田紀房は堂々と言い放つ。単発のヒットで終わらず、マンガ家として長く生きて残りたいと真剣に思うなら、プライドなどに構わず他人のいいところを学び、取り入れていくべきである。「中途半端」がもっともいけない。

「『何とか食べていける』状態が危険なのである。今が“そこそこ”だからと言って現状に甘えていると、ずるずると業界での位置が後退し、いずれ他のマンガ家に抜かれて市場から淘汰されてしまう」(Vol.2「どうせやるならトップを目指せ!」)

三田紀房の持論の「身もふたもなさ」は、世間の常識や思い込みよりも、マンガ家として本当に目指すものを追求しているからこそ、なのだ。

それは、マンガ家としての働き方にもつながっている。
Vol.4「徹夜は一切しない!」に続き、今後は「締め切りを破らない」「マンガ家の公務員化を目指す」など、働き方についての持論をさらに展開するので、ぜひ期待して読んでもらいたい。

三田紀房の著書『プレゼンの極意はマンガに学べ』を3名にプレゼント!
この本をただのプレゼンのノウハウ本と思うことなかれ。「マンガを描く技術の中には、プレゼンに生かせることがたくさんある」という前提のもと、三田紀房がマンガの描き方について余すことなく語る、いわば「三田流マンガ論」の決定版なのです。

応募方法は、twitterで「#三田流マンガ論」とハッシュタグをつけて、三田紀房への新年のメッセージをお送りください! メッセージは三田本人が見て、当選者を選びます!メッセージの期限は1月10日まで。

2015年も今日で終わりです。読者の皆様、本年も三田紀房を応援していただき、ありがとうございました! 今年は、高校球児が1000万円を託されて甲子園を目指す型破りな野球マンガ『砂の栄冠』が最終回となり、三田紀房の作家人生初となる戦争モノ『アルキメデスの大戦』連載がスタートしました。『インベスターZ』では、主人公の財前とライバルの慎司による、投資部の存続をかけた3番勝負が始まり、ますます目が離せません。2016年も、どうぞ三田紀房の作品をお楽しみください!

☆「三田流マンガ論」バックナンバーはこちらから読めます
【マンガ論 Vol.1】 「すべてのマンガは個人商店だ!
・人気店を分析せよ
・競合を回避する
・世の中の「空席」を探せ

【マンガ論 Vol.2】 「どうせやるならトップを目指せ!
・“そこそこの成功”は危険だ
・無理と思っても「1位」を目指す
・大先輩から技をパクれ

【マンガ論 Vol.3】 「ベタな表現を恐れるな!
・中途半端にやるからダサくなる
・マンガは「強さ」を意識しろ
・個性など追求するだけムダ

【マンガ論 Vol.4】 「徹夜は一切しない!
・夜型は業界の単なる“慣習”だ
・規則正しい働き方だとアシスタントが辞めない
・「マンガ家はきつい仕事」は思い込み

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