クレイジーになれ!
そして、自分の人生を生きろ!(中編)

設立4年目にして、ウェディング業界の話題をさらう風雲児。結婚式の常識をくつがえす自由でクリエイティブなサービスが支持され、急成長中のベンチャー企業、株式会社CRAZY。創設者の山川咲さんは、「自分の人生を生きること」の大切さに気付き、起業したという。人生の本質を問いかける、山川さんのインタビューを3回にわたってお送りする。

山川さん中編photo

山川咲さん 株式会社CRAZY/CRAZY WEDDING創設者


人生イコール会社と
信じて突っ走った20代

新卒で入った人材教育コンサルティングのベンチャー企業では、めちゃくちゃ働きました。寝る間も惜しんで仕事をし、入社2年目で新卒採用の部門責任者になるなど、積み重ねた努力は着実に実を結びました。急成長するベンチャーを支えているという自負もあり、私は子供時代に身に付けた“誰よりも頑張る力”を、会社で思う存分発揮していました。

しかし、入社5年目に状況が一変します。人生を捧げる覚悟で、全身全霊で働いていた組織を、私は去ることになるのです。

そのころ私は妊娠、そして流産という経験をしました。夫である森ちゃん(森山和彦氏・現CRAZY代表取締役社長)の支えもあり、つらい出来事を乗り越えて仕事に復帰しようとしたとき、会社との間で、働き方やキャリアについて埋めようのない溝が生じました。一連の話し合いを通して、私は結局、どんなに頑張っても自分は組織の歯車でしかないという現実をかみしめました。

それは同時に、「一体何のために努力してきたのか」「誰のための人生なのか」という、自分の人生への大きな問いでもありました。私はこうやって会社のため、誰かのために働き続けるのだろうか。一度しかない人生を、自分のために使わないのだろうか。具体的にどうすればいいかはわからない。でも直感的に、「このままではいけない」という焦りが背中を押し、会社をやめるという結論に至りました。

退職という行動を起こしたものの、私は心身ともにボロボロの状態でした。信頼してついてきてくれた後輩たちや、お世話になった人たちの気持ちを裏切った罪悪感。情熱を捧げた会社に対して、「これで良かったのか」という後悔。自己嫌悪に陥り、進むべき道が見えず、何もかもネガティブにとらえてしまう。頑張ってたどりついた先に、こんなどん底の日々が待っているとは、思いもしませんでした。

このままでは、自分はダメになる。

行き詰まり、苦しさから逃げるようにして、私は旅に出ました。行き先はオーストラリア。泣くことしかできない毎日を、断ち切るための旅でした。

旅先で知った
人生を肯定する大切さ

バックパックだけを持って乗り込んだ飛行機。離陸した瞬間、東京のキラキラした夜景が眼下に広がるのを見て、私はとてつもない解放感を味わいました。これから先のことはわからない。でも、少なくとも私は5年間、必死に頑張った。うそ偽りなく、誰よりも努力をしたのだという気持ちがわきあがってきました。狭かった視野が開け、自分をいたわってあげたくなりました。それは自分の努力が昇華されていくような、不思議な感覚でした。

気持ちを立て直して降り立ったオーストラリアの地で、人生を楽しんでいるたくさんの人に出会いました。カフェに行けば、お姉さんがパッと微笑み、明るい言葉をたくさんかけてくれる。サーフボードを借りれば、店員さんが「人生最高の日になるよ!」とはじける笑顔で言ってくれる。人々がごく自然に、日常の中にある幸せを慈しんでいるように見えました。

日々の“プロセス”を楽しむのが上手なオーストラリアの人たち。 生活を犠牲にして、頑張って“結果”を求める日本人。 特別なことをしなくても楽観的に、幸せそうに生きている人たち。 めちゃくちゃ頑張ったのに考え込んで、自己嫌悪に陥っている私。

……この違いは何なのだろう?

ひらめきを得たのは、エアーズロックへのツアーでのことでした。アボリジニの聖地であり、登山中の事故が多いエアーズロックに登頂するかどうかは、ツアーの最後に個々人の意思に委ねられます。ほとんどの人がバスを降りていきましたが、私はどうしても登りたかった。常識とか、周囲の目とかは一切関係なく、自分の意思を優先したいと思ったのです。

その気持ちに従い、私はエアーズロック登頂に挑戦することにしました。想像以上に険しい絶壁を、鎖一本で登る恐怖。涙ぐみ、冷や汗をかきながら頂上にたどり着いたとき、自分の中にとてつもないパワーがわき上がってくるのを感じました。

大丈夫。私はちゃんと自分らしく、意思をもって生きられる。誰かを喜ばせたり、社会的な評価をもらったりするためじゃなく、まずは自分が喜べること、本当にいいと思えることに向かって頑張ればいい。たった一度の人生を自分のために生きて、人とつながろう。

エアーズロックを下りたとき、私はもう一度ビジネスの世界に戻ろうと考えていました。会社員としてではなく、今度は自分の力で。どんな事業を起こそうかと想像をめぐらせ、わくわくしていました。

私にはできる。 それが、この旅の結論でした。

*8月1日(月)掲載の「いったん妥協したら人生は戻って来ない」に続きます。

  • プロフィール写真
    山川 咲 (やまかわ・さき)

    株式会社CRAZY / CRAZY WEDDING 創設者
    大学卒業後、ベンチャーのコンサルティング会社へ入社。5年間の社会人生活にピリオドを打ち、退職後一人オーストラリアへ。帰国後、「意志をもって生きる人を増やしたい」との想いを実現すべく、業界で不可能と言われ続けたオリジナルウェディングブランド・CRAZY WEDDING を立ち上げ、たった1年で人気ブランドに成長させる。2016年には事業を退き、次のステージを志す。毎日放送「情熱大陸」に出演。著書『幸せをつくるシゴト』(講談社)

☆山川さんの著書
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*目次
 【前編】特殊な環境で育ち認められようとした子供時代
*【中編】人生イコール会社と信じて突っ走った20代
 【後編】いったん妥協したら人生は戻って来ない

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